暁 〜小説投稿サイト〜
流星のロックマン STARDUST BEGINS
精神の奥底
51 Dark Side Of The City 〜中編〜
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何か予期せぬ出来事が起こっただけで、消えてしまう風前の灯なのだ。
呼吸器を取り付けられた顔を見ても、いつも絶やすことのなかった笑顔を思い出すことができない。
七海の中では思い出すだけで自分で自分を苦しめる。
こんな状況を引き起こした不良と街の全て、そして自分自身を激しく憎んだ。
思わず強く唇を噛み過ぎて、血が垂れる。

「ごめん…ごめんね…本当は私がそこで寝ているはずだった」

七海は下を向いて目を閉じた。
視覚を止めたことにより、触覚と聴覚が研ぎ澄まれされていく。
聴こえてくるのは、ミヤを生かし続ける機器が動作する音と中身は空なのに冷やし続ける冷蔵庫の音。
だが不思議と前に来た時には聞こえなかった音が混じっていた。

「ん?」

言い争いと喧嘩、悲鳴、普段学校や街で聞いているはずなのに、何度聞いても聞き慣れることはない音だ。
病院の外から聞こえてくる。

「…外?...あれは…!?」

カーテンを僅かにめくった七海は一気に現実に引き戻された。
窓の外、裏口から忍び込んだ七海にはまるで分からなかったが、正面玄関の近くで争いが起こっている。
しかも気味の悪い異形の怪人の群れと灰色の怪人が戦っているのだ。
到底、現実とも思えない夢の世界の中だと思いたいが、夢で喧嘩があんなにも生々しく仁義の欠片もないも無いものとして描かれたことは今まで無かった。
4人掛かりで1人の灰色の怪人に挑み、互いに手加減など無く、ヒーロー番組のように敵が倒れても立ち上がるまで待つというお約束も無い。
正真正銘の殺し合いだった。

「警察…」

ポケットの中のPHSを取り出そうとするが、この街の警察はあてにならない。
七海はしゃがみ、身を隠しながらその光景を見ているしかなかった。
しかし不思議と心奪われた。
仁義無き殺し合いだというのに、たった1人で4人を相手にする灰色の怪人・スターダストが戦う様が力強く、儚く見えた。

「チクショウ!!」
「ハッ!ヤァァ!!」

スターダストはジャミンガーの放った拳を受け流して急接近すると拳の変わりと言わんばかりに肘で顔面を砕いた。
すぐに後ろから迫る敵には振り返ること無く、蹴りを加えると顔面を砕いたジャミンガーを上から背負い投げて潰す。

「ハッ!」

僅かに助走して左足で飛び上がり、空中で体をひねり、右足で蹴りつける。
アクロバティックでスピーディー、そして幾つかの格闘術を断片的に感じる戦闘術、だが受け流す、身代わりにするということをしても、根本的に交わす、避けるというダメージを回避することをしていない。
そんな自分の身を顧みない戦い方は初めてスターダストを見る者であっても哀愁を誘う。
重量感溢れる武器を全身に身につけ、接近戦を圧倒する。
しかしスターダストは自
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