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二人で笑おう

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。笑顔とまではいかないが上機嫌そうに、口元を緩める。
「よし行こう」
 さっきと声のトーンは変わらないが、表情からしてうれしそうだ。声色で変化を出してくれるともっと楽なのだが、それはもう諦めよう。
「近くの海が見える公園まででいいかな」
 僕らの町は海を埋め立てて造られている。歩いて十五分くらいのところに、おいしいアイスクリームの売っている公園があるのだ。景色もよく、デートにはもってこいだろう。
「いいね」
 彼女は体を起こし、ベッドに腰かけた状態で自己主張のほとんどない胸を反らした。
「今失礼なこと考えた?」
 心を読まれていた。
「いや、別に」
「ふうん」
「胸小さいなと思っただけ」
 ベッドの枕が顔面に飛んできた。案外痛いんだぞ、これ。鼻のつんとした地味な痛みを我慢しながら僕はベッドの脇にある腕時計と杖を取り、ベッドに腰掛ける彼女に渡した。
開いた窓から、桜の花びらがひらりと舞い込んだ。


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