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ソードアート・オンライン‐黒の幻影‐
第3章 黄昏のノクターン  2022/12
23話 真昼の情景
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用しない。新鋭のプレイヤーが増加すれば、攻略の前線は一枚岩を保つことさえ困難となる。間違いなく控えるべき行為だ。
 目に余るなどと言えた義理ではないが、放っておくにも女の子を相手に暴言を吐くのを大人しく見過ごすのだって寝醒めが悪い。ヒヨリ達をやや離れた位置に待機させておき、渦中に踏み込んで突き進もうとするリゼルの肩を抑える。


「リゼル、譲ってやってくれ」
「リンか、こないだぶりだね。でも、流石にそいつは聞けないよ。アタイらが引き下がるのは………」
「それでもだ」


 事情は把握している。世間一般の尺度で考慮するならば、リゼル達が譲歩する必要は全くない。だが、彼女達には前線に進出してもらわなければならない。ここで古参の前線プレイヤーに睨まれるのは避けたいし、彼等にも一般プレイヤーは簡単に退くものと思われたくもない。結局のところ、煮え湯を飲んでもらわねばならない。その後でいくらでも叱責を受ける覚悟は出来ている。やることはいつぞやのキリトと同じくヘイトの集積である。


「あ、お前、さっきはよくも!?」
「列も並べないような相手と同じ土俵に立つな。いきなり来て偉そうな言い方かもしれないけれど、あまり言い争ってもつまらないだけだ。それとそこのフルフェイス、俺はお前には何もしていない」


 強いて言うならば、頭の上を飛び越えただけだ。


「………そうだな、アタイらが大人になってやらないとな。ほら、とっとと行きなよ。忙しいんだろ?」


 挑発めいたリゼルの言を受け、ALSのフルフェイス男は拳を震わせてこちらを睨んでいる。そして数瞬の後、震えていた拳の人差し指を何故か俺に向け、堰を切ったような金切り声が街路いっぱいに鳴り響いた。


「ナメやがって………オ、オレは知ってんだ! 第一層からずっとボス攻略に参加しなかったのだって、ボス戦が怖いからだろーが!? オレたちが命懸けで戦ってたのに、どーせ二層も三層も怯えてコソコソ隠れてやがったんだろ? ベータテスターの癖に逃げやがって!!」
「………テメェ、リンが何だと? もう一回言ってみろ!!」
「卑怯者だって言ってんだ!! 楽な隠しクエばっか漁って、自分だけ強くなりゃそれで良いよーなビーター野郎だ!? だいたい………」

「ジョー、黙っとれ」


 気を許せばリゼルから拳が飛びそうなくらいに張りつめた一触即発な状況、濁声が痩せぎすの男を怯ませた。その只中で現れたのは、恐らく俺が一番会いたくない人物、ALSのリーダーであるキバオウその人だった。


「キ、キバさん………だって、アイツらがオレらに………」
「よう見とったで。他人様怒鳴り散らして、偉うなったな」
「だ、だってオレらは前線で戦ってるんだ! それも知らないアイツらの方が………」
「ワシ
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