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鶴の舞う空へ 
第1部 異世界へ
1.夢
鶴の舞う空へ
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は剣道部の副主将だった。周りから、始めたばかりだとは思えないといわれるほどの実力を持っており、先日の都大会でも優勝するほどだった。
「なあ、何で海斗、フェンシング辞めて剣道始めたんだ?」
「うまく説明できないんだけどさ、こう...剣道をしないといけない気がしたんだよ。直感的に。」
「なんだそれ?」
「だからうまく説明できないんだってば。」
二人はそんなことを話しながら教室に入った。すると、黒板に『一時間目は物理に変更となったため物理室です』と書かれていた。クラスメイトの話だと、数学の田島先生が休みらしい。朝の朝礼が終わり、教科書とノートを持って教室を出ようとすると、一人の女子が話しかけてきた。
「梶原君、島崎君、一緒に行っていいかしら?」
「おう、三人で行こうぜ。な、海斗。」
「おう。行こうぜ泉。」
彼女は泉鏡花。クラスの中でもだいぶ美人でおとなしい少女だ。三人は並んで歩いても、あまりしゃべらなかった。渡り廊下にさしかかったとき、ふと海斗の目に鏡が写り込んだ。そのとき、泉が音を立たせて筆箱を落とした。島崎と泉が散らばった筆場の中のペンなどを慌てて拾っていたが、海斗はそれに目もくれず、とりつかれたようにじっと鏡を見ていた。海斗は鏡に引き寄せられているように感じていた。
「この鏡....これは....。」
海斗がそっと鏡に触れると、鏡が急に光りだした。
「な、なんだ?!」
鏡は海斗の手を徐々に吸い込み始めた。鏡の面は水のように変わり、ずぶずぶと海斗の体を沈めていった。
「島崎!!泉!!助けてくれ!!!!」
海斗は必死に叫んだが、その声は二人には届かないどころか、海斗の姿も見えていないようだった。海斗の体はそのままゆっくり鏡の奥へと吸われていった。海斗は暗闇の中へと落ちていく感覚を味わいながら、意識を失っていった。

続く
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