第6章 流されて異界
第128話 勝利。そして――
[5/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
の密着度が大きくなった。
刹那!
俺たちに今まさに跳びかかろうとした犬神が二体、アスファルトの道路に縫い付けられ、そして断末魔の叫びを上げた後に消えて仕舞う!
そう、これは磔用に使用する釘。手持ちは多くないが、それでも術を使用しないで遠距離を攻撃出来る貴重な攻撃方法。
左足から着地。そして、右足で更に後方へと跳ぶ俺。動き自体はまるでスローモーションを見ているかのようなゆっくりとした動き。しかし、その実、この場に存在するすべてモノの中で最速と言って良い動き。その瞬間に振るった右腕が、更に二体の犬神を屠った。残りの光は六、つまり三体!
その瞬間――生来の能力、重力を自在に操る能力を発動!
これは、左から吹き付けて来た鬼気に身体が強く反応した結果。この世界の自然法則を無視した形で、空中で更に加速。その加速した一瞬の後、俺とハルヒの身体の有った空間を長大な刃が空を切る。
僅か数センチ。俺と、そして見開かれたハルヒの瞳の前を斜めに切り裂いて行く銀の光が横切って行ったのだ!
正に紙一重。一瞬のタイムラグの後、その刃の巻き起こす真空が俺の身体を襲うが、しかし、この程度の威力では俺の纏う精霊の守りを抜く事は出来ず、周囲で何かが裂けるような音を発するだけで終わった。
次の刹那。俺とハルヒは道路と歩道を区切る白線の上に着地。たったの二歩。それも後ろ向きでのジャンプで片側二車線の道路を横断した勢いはその程度で納まる事もなく――
更に先ほど空を切った野太刀を構え直した青年が。そして、その青年の足元を駆け抜けるように接近中の犬神たち。
更に一歩、後方へと跳ぶ俺。動きは基本的に俺の方が早い。同時に、ほぼ遅滞なく振るわれた右腕の一閃が、更に一体の犬神を屠る。
しかし、流石に逃げ一辺倒と言う訳には行かない状況。右腕を振るう度に、僅かずつではあるが間を詰められる感覚がある。
但し、残すは後一歩! 後、たったの一歩!
丁度、歩道の真ん中辺りに着地した瞬間、僅かに一度、勢いを殺すかのように小さくジャンプ。そしてその後、わざとゆっくりと息を吐き出す。
その時!
足元に近寄って来ていた犬神二体に雷撃。そして同時に袈裟懸けに切り付けて来た野太刀を躱すように更に後ろへ跳ぶ俺。
しかし、自らの身を厭う事のない犬神への攻撃が僅かなタイムラグを生み、その隙間に――
舗装された道路が途切れ、大木を背にした俺。もう逃げ場は後数十センチ。
初太刀を完全に躱された犬神使いの青年。しかし、フードを目深に被った青年の口元に僅かな笑みが覗く――
マズイ!
その瞬間。残された数十センチすべてを回避に使用。背中にブナと思しき硬い樹皮を感じた。
しかし、しかし!
虎口を逃げ切る事二度。切り下げる一撃
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ