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アインクラッド編
龍皇の遺産
龍皇の遺産 01
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破格の威力を誇る一撃は、唯一鱗のないスヴァローグの腹を一文字に斬り裂く。
 軽量級の薙刀使いである僕は普段、当然だけど出の早いスピード重視のソードスキルを好んで使う。 高威力のソードスキルを使って敵を圧砕するのはアマリの役目だし、そもそも僕の筋力値で重攻撃系のソードスキルを使ったところでダメージ量はたかが知れているからだ。 それに、異常な切れ味を持つ雪丸は重攻撃との相性があまり良くない。

 なら、どうして重攻撃の中でも筆頭の《血桜》を使ったのかと言えば、答えは至極単純。
 《血桜》は高威力が売りであると同時に、相手にノックバック(それは、かなりの、と注釈を加えなければならないほどの)を与えることが売りなのだ。
 さすがに僕の低い筋力値で繰り出した《血桜》では、スヴァローグのような大型モンスターにそこまで凄まじいノックバックは起こせない。 起こせないけど、それで十分なのだ。

 「あっはぁ!」

 どうせこれは、敏捷値に劣るアマリの一撃を確実に当てさせるためのサポートなのだから。

 アマリの余りある筋力値を活かした跳躍は、翼で空を飛ぶスヴァローグの頭上を優に超える。 スヴァローグの巨体の真下にいる僕には見えないけど、見なくてもそれは分かった。 そして、アマリが使うであろう必殺のソードスキルも。

 硬直が解けると同時にその場から飛び退いた僕の耳に、ズンッと言う、硬い鱗が発するとは思えない絶望的な音が届く。 直後、ディオ・モルティーギの禍々しい刃がスヴァローグの身を裂いたのだろう。 僕が先程までいた場所にその巨体が勢い良く墜ちた。

 同じく単発重攻撃《デストロイ・ノヴァ》
 物騒な名前の通り、新星すらも破壊せんばかりの勢いで振り下ろすその一撃は、ディオ・モルティーギの重量に後押しされて更に威力を増す。 あんなものを喰らえば僕のHPは9割以上喰われてしまうだろう。 だから、スヴァローグが地に墜ちるのも仕方がないのだ。

 龍皇を地に墜とすなんて、不遜極まりないことをした張本人が危なげなく着地するのを視界の端に捉えながら、僕は安堵の息を漏らす

 予想通り、スヴァローグは弱体化していた。 いや、予想以上に、か。

 フロアボスだったスヴァローグはHPバーを6本持つとんでもない強敵だったけど、このスヴァローグはHPバーが3本。 あくまで体感ではあるものの、そのステータスも大体半分程度にまで落ちている。 そうでもなければ、さすがにアマリの一撃とは言え、あそこまで勢い良く墜ちはしないだろう。

 だから漏らしたのは、あるいは落胆の息だったのかもしれない。

 (なんだ。 もう少し殺り甲斐のある相手かと思ってたけど……)

 見れば、スヴァローグの1本目のHPバーは既に3割も削れている。 油断はしないけど、この分
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