第十九話 それぞれの戦後(その1)
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に含む。ふむ、なかなかの味だ、悪くない。
「ところでいささか気になる事が有る」
「……」
どうやら話したい事が有ると言うのはわしを誘う口実ではないらしい。国務尚書は難しい表情をしている。
「反乱軍は五万隻近い大軍を動かしたそうだ」
「五万隻……、良く勝てたものだ」
エーリッヒは二万隻しか率いていない。それで五万隻に勝った。喜びよりも溜息が出た。
「駐留艦隊と挟み撃ちにしたそうだ」
「なるほど……。しかしそれでも劣勢であろう、大したものだ」
「うむ。まあそれは良い。問題はフェザーンから反乱軍の動きについて何の報せも無かった事だ」
「……」
リヒテンラーデ侯がわしを見ている。
「これまで反乱軍が動けばこちらに連絡が有った。少なくとも大規模な出兵に関しては必ず有ったのだ」
「五万隻、少なくは無いな」
「うむ」
反乱軍が大規模な艦隊を動かした、にもかかわらずフェザーンから報せが無い、その意味するところは……。
「卿は偶然だと思うか、リヒテンラーデ侯」
「そうは思えん」
気が付けば身体を寄せ合い小声で話していた。
「となれば故意か……」
「うむ」
「帝国軍の敗北を狙ったという事だな。ここ最近帝国は有利に戦争を進めている。劣勢な反乱軍に力を貸し戦力の均衡を図った。そんなところであろう」
リヒテンラーデ侯が首を横に振った。
「それだけではあるまい。奴らが狙ったのは大公、卿の養子殿かもしれん」
「……」
わしが口を噤んでいるとリヒテンラーデ侯が言葉を続けた。
「連中、我らが手を組んだ事を危険だと思ったのではないかな。それで潰しに来た」
「その手始めがエーリッヒか」
「手始めと言うより、公が狙いだったのではないかと私は思っている」
「……」
「先日のコルプト子爵の一件、綺麗に片付けたからの。軍だけではなく宮中でも力を振るい始めた、そう思ったのかもしれん。このまま放置しておけば厄介な存在になるとな」
「それで故意に情報を流さなかった」
「うむ、戦場でならフェザーンは自らの手を汚さずに済む」
戦死ではなくとも敗北すれば政治的な地位は沈下する。それを狙った可能性も有るだろう。だがエーリッヒはその罠を見事に凌いだ。目論見を外されたフェザーンはどう出るか……。
「これからもフェザーンはエーリッヒを狙うであろうな」
「おそらくそうなるであろう」
やれやれだ。せっかく内乱の危機を防いだと思った。公爵家も滅びずに済むと思った。だが新しい敵が現れたか、狡猾で油断できない敵、フェザーン……。考え込んでいるとリヒテンラーデ侯がクスクスと笑い声を上げた。
「……出来の良すぎる息子を持つと大変だな、ブラウンシュバイク大公」
「からかうな」
「なに、心配はいらぬ。あれは敵に対して
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