月下に咲く薔薇 18.
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ルヴァーシュの気持ちが俺の中に流れ込んできました。自分は大丈夫だってわかって欲しい。だから俺達も、わかったよって伝えました。その後、俺達の周りで音楽が流れ始めたんです」
「音楽?」
ロジャーに問いかけられ、レントンは慌てて「そんなにはっきりとしたものではないです」と但し書きを追加する。「でも、綺麗な音が混じってて、俺にはそう聞こえました」
「私にも」
エウレカもまた、自分の印象を短く話す。
「その音楽みたいなものが聞こえている間も、ニルヴァーシュと話をしました。ニルヴァーシュも俺に伝わりにくくなっているのは気づいている様子で、苦しいとかはないけれど、変なものが入ってると言っていました」
「変なもの?」
鸚鵡返しに問いかける万丈に、「はい」とレントンが即答する。
「何だか上手く言えないみたいで、ただ『変なもの』とだけ」
「なら、俺と同じだな」クロウが話に割り込み、右手の親指で自らの胸を指す。「俺にも、違和感は全然ない。ティファちゃんがその話を俺にするまで、ただの夢かと思ってたくらいだ。それでも、俺の体には何かが入ってると言われた。もしかしたら俺は、こうして何事もなく会話できる事に感謝しなくちゃいけないのかもな」
「そういえば、ティファはこの後来るのか?」
ロックオンが不在の説明を求めると、ゼロが応じた。
「彼女は眠っている。昨夜、君達と別れてからずっとだ」
「それが交信の疲労によるものか、今正に力を解放している為なのかは、僕にもわからない」やや残念そうにアムロが呟いた。「元々、この多元世界にはノイズが多いんだ。しかも昨日から、これまで以上に色々なものを感じにくくなっている。ただ、脳に問題はないと医者のお墨付きをもらった。彼女については、起きるのを待とう」
「そうか」眠り姫となった虚弱な少女を案じつつ、ジェフリーがカナリアの方を向く。
「はい。彼女にも検査を行いましたが、結果は全て正常値の範囲内です。ガロードが傍に付いていたいと言うので、今は任せてあります」
何度も同じ体験を繰り返している分、女性医師に彼女を不安視する様子はなかった。時間と場所を選ばず始まるティファの昏睡状態にすっかり対応慣れしている。
「では、クロウの話の前に、彼の検査結果から専門家の意見をもらおうか」
マクロス・クォーターの艦長が、クロウの名を強調し、医師でもある部下に検査後の見解を求めた。
遂に来たか。クロウの中を、無駄な緊張が駆け巡る。
映像は、クロウの検査結果の一覧となった。画面の半分は数値で残りの半分に人間1人の全身撮影図が表示される。撮影は3回行われており、X線の透過角度を変える念の入れようだ。
「基地の設備で行った医学的検査では、クロウの体内に異物があると証明する事はできません。本人も自覚症状がないと話しており、体が異物の
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