月下に咲く薔薇 18.
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た。まともに受け止めようものなら、隊の暗さが増すのは確実だ。ガロードなりの機転なのだ、と良心的に解釈する。
ランニングの最中、何人もの仲間達から「大丈夫か?」と声をかけられた。カナリアからは「後で検査に来るように」と言われたので、素直に従う事にする。
食前が望ましいのならと朝食を我慢し、付き合って食事を抜いた見張りと共にバトルキャンプの医務室に入る。
そこでは基地詰めの医師と助手の他、白衣を着たカナリアがクロウを待っていた。
「艦長達が昨夜の話を聞きたいそうだ。だがその前に、ここで一通りの検査を受けてもらう。その結果を持って、私と一緒に会議に出る。いいな?」
良いも悪いもない。クロウは「ああ。何か見つかる事を祈ってるぜ」と言ってコートを脱ぎ、ロックオンに手渡した。
「私もだ」
頷く医師と共に、カナリアも準備にとりかかる。
一般的な検診の後、全身のX線撮影、血液検査、触診を受けた後、簡単に朝食を済ませる。検査結果を携えたカナリアの後ろについてゆくと、目指す場所は窓のない会議室だった。
そこには、レントンとエウレカの他、ミシェルの姿もある。ジェフリーとスメラギ、城田、ゼロ、アムロ、クワトロ、万丈、ロジャー、そしてこの基地の主である大塚長官が今回加わった。
指揮官や隊の支柱がずらりと顔を並べている中、大人と向かい合って座る子供2人は堂々としたもので、レントンとエウレカの場慣れぶりには頼もしささえ感じられる。
一方、ミシェルは1人僅かに眉根を寄せ、感情を抑えようと努めている姿がむしろ痛々しい。元々は聡明でしっかりものの少年だが、今の様子を伺い見る限り、この部屋の中で最も追い詰められている人物として皆の目には映った。
つい先日までレントンを苦しめていた焦燥が、そのままミシェルに移ってしまった格好だ。尤も、ホランドは単に独走を選んだだけで、人類の敵として持てる力を振るう為に去った訳ではない。
クロウ自身、未だに何処かで信じている。ZEXISという繋がりが月光号クルーの全員に残留している筈、と。
しかし、クランを連れ去った相手は間違いなくZEXISの敵であり人類の脅威に相当する。ミシェルの抱く危機感や焦燥は、そのレントンに気遣わしげな視線で様子見をさせる程、空気を通し伝染していた。
「遅くなりました」カナリアが検査結果の入ったメモリーをデスク備えつけの機械に差し込むと、「それでは始めようか」と大塚が開始を告げる。
レントン達が姿勢を正し、クロウとロックオンはその隣に座った。
空気がぴんと張りつめる。
「諸君が知っている通り、昨夜」大塚が話し始めると、大塚達とクロウ達の間の机上に昨夜現れたライノダモン様植物が立体表示された。「次元獣の襲撃を受けたこのバトルキャンプに、新たな怪物が出現した。その正体は不明だが、狙
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