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月下に咲く薔薇
月下に咲く薔薇 18.
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ISは更に護りの刃を強くした。月の表面が荒涼とした砂と石の世界でも、人と町が失われた結果の姿ではない。どちらの月であろうと、そこでZEXISが勝ち取るものは勝利と希望に決まっている。
 アムロと同じくZEUTH所属のガロードも、「月があってこそのツインサテライトキャノンだぜ!」と笑顔で自分の胸を叩いた。「あそこに行っても俺達は勝てるって! 待ってろ、『いつか』! そん時は、必ずみんな揃ってるさ」
 ガロードはさりげなく、未来で待つ月行の日がクランと中原の救出後である事を強調した。
「って、もう3時を回ってるじゃないか」忍が腕時計をちらりと見、右肩を回してほぐす。「今夜ここは徹夜の修理で大賑わいだ。出撃したパイロットは、そろそろ帰って寝とけよ」
「そうそう」と、雅人も立ち上がって自分の役割に立ち返る。
「聞いたな」去ってゆく獣戦機隊に代わって、アムロが丸い光に視線を落とした。「ここで何があったかについては、僕から上げておく。とにかくレントンにエウレカ、ガロードとティファ、クロウにロックオンは睡眠をとってくれ。明日は質問攻めになるぞ」
「えーっ」
 僅かに顔を歪めつつ、仕方ないかとガロードが首を傾けて諦める。
「今日だって随分訊かれたのにな」零すクロウに、ロックオンが「そん時は俺も付き合ってやるさ」と笑って帰路を指し示す。
「それじゃあ、おやすみなさい」
 ぺこりと頭を下げ、エウレカの手を引いてレントンがダイグレンの格納庫を出てゆく。
 ガロード達がそれに続こうとした時、ロックオンが突然子供達を呼び止めた。
「ガロード。ティファ。ちょっと待ってくれ」
 そっと振り返る2人に、隻眼のスナイパーは「さっきダブルエックスを出さなかったのは、誰の指示なんだ?」と問いかける。
「私がお願いしたの」ティファが静かに、しかしはっきりとした口調で答えた。「あの機体を出したら、誰かが悲しむ。そう思ったから」
 ティファの言う「誰か」とは、先程クロウが接触した何者かを指すに違いない。ティファの能力を持ってしても、あのバラ群が現れた時には僅かな感情の波を掴む事が精一杯だったのだろう。
 それでも、少女は上申した。彼女なりの強い信念で。
 クロウは宿敵の言葉を反芻し、「そういえばアイムも、ダブルエックスが出撃していない事をどうこう言っていたな」と口端を曲げる。「結局、またあの嘘つき野郎を思い出す羽目になるのか」
 ロックオンがクロウの肩を掴んだ後、どんと背中を叩いた。
「帰るぞ。とにかく続きは明日に回せ。今日のお前は、誰が見たって働きすぎだ」
「わかった、わかった」
 不機嫌になった友人にせき立てられ、ダイグレンを後にすると自室に戻ってベッドの上へと倒れ込む。
 床に転がるハロに徹夜の監視を任せ、クロウは何も考えずに目を閉じる。流石に今度こそ
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