月下に咲く薔薇 18.
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「見えないが確かにそこにあるだの、戦えばリスクがあるだの、そういうものを側に置いてZEXISは戦ってきた。俺は、そう思ってる。ガイヤーの内部にある反陽子爆弾、ゲッター線、ダンクーガノヴァの機関暴走、ホランドが使ってたCFS。スフィア・リアクターも覚醒が進めば、体に不調が起きるって話を聞いてる。俺にとっても異物ってのは気分のいいもんじゃないが、今朝は1つが2つに増えたくらいに思ってる。ゆうべの戦闘中、俺もブラスタにも異変は起きちゃいないし、もし今日、ZEXISに出動要請があれば、勿論俺は出るつもりだ」
「俺もニルヴァーシュも!」レントンが椅子に座ったまま、語気強く前屈みになった。「ニルヴァーシュもクロウと同じ事を言っていたし、上手くやります」
反陽子爆弾の名が出た瞬間、指揮官達どころかロックオンやミシェルの眉や手が一瞬ひくついた。そう、異物の比ではない破壊のスイッチと共にタケルは毎回戦っている。
それは、取りも直さずZEXISが握らされている地獄の門の鍵でもある。起爆の条件は、タケルの死。生還率の高さを誇る戦士ならば及び腰になってもおかしくはない極悪条件だ。
しかし大塚達は、タケルを閉所の中に閉じ込めて守るのではなく、戦士として積極的に前線に出す方を敢えて選んだ。
同じ事ではないか。クロウもニルヴァーシュも今は敵に魅入られた存在だ。利用されないようにと逃げ回ったとしても、いずれ引き摺り出される羽目になる事はわかっている。
しかも、ブラスタとニルヴァーシュは共に飛行が可能で、火力に至ってはZEXIS・ZEUTHの機体群を合わせても上から数えた方が早い順位にある。Dフォルト突破の難しさを考慮するなら、むしろ率先し前線に出すべきだろう。
「最悪の場合、代償はあなた達が払う事になるのかもしれないのよ」
スメラギの優しい配慮に、クロウとレントン、エウレカの3人が首肯した。
「それでいい。単に、タケルと並んだだけじゃないか」
クロウは、わざと減らず口を叩く。
「今後立てる救出プランに、君達を要として組み込む事になるかもしれん。それでもいいのだな」
眼光厳しいジェフリーにも、3人の心は動かなかった。
「ああ」
「はいっ!」
対して、隣に座るロックオンとミシェルは妙な程静かだった。
特にロックオンは、何かを喉の上まで押し上げつつも飲み込んでいる。
タケルを守って戦い勝利した今までと、カミナを死なせてしまった人革連領内での対獣人戦。その両者の記憶がロックオンの中でせめぎ合い、クロウとレントンの決意に一言言ってやるべきか否か躊躇しているのだ。
ようやく届く程度の声で、隣のガンダムマイスターを諭す。
「という事で、俺達の背中を守ってくれ。当てにしてるぜ」
「…死んだら、ただじゃおかないぞ」
怒声に近い脅しの低音
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