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月下に咲く薔薇
月下に咲く薔薇 18.
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だ」
 クロウには、ガロードの言葉が「子供らしくない」と言っているようにも聞こえた。
「気になるんだ、時々」レントンの手が、エウレカの手を握り直す。「俺達はいつか、きっとあの2つの月に行く。もしその時、エウレカが月で俺を待っているとしたら、って思うと、見慣れておきたいんだ。俺がちゃんとニルヴァーシュを励まして、あそこで戦えるように」
「いつか、ね。その日は来るわ、きっと」リーロンも、自身の予感には正直であろうとする。「でも、誰か1人が行く事はないし、みんなも1人では行かせない。月の専門家が、その時の私達に最適なアドバイスをくれるわ。それは覚えておいて」
「わかってます。でも、そういうものを俺が人任せにする理由にはしたくないんです」レントンが、一度唇を噛む。「だって…。月の表面は、今のリモネシアに似ているから」
 νガンダムから、アムロが降りてくる。クロウ達に近づいて来る彼の足音がはっきりと聞き取れる程、全員が凍り付き無音となった。
「いいじゃないか、備えておきたいのなら」極短期間でZEXISの内情に通じたアムロが、レントンの背を押す。「ねだるな。勝ち取れ。さすれば与えられん。だろう?」
 少年の口癖を引用するアムロに、彼が大きく「はいっ!!」と頷いた。
 レントンの口癖。それは、エウレカを研究機関に取り上げられ、ホランドに連れ去られ、一向に縮まらない彼女との距離に焦燥を覚える中、レントンの内から浮上した思い出の言葉だという。今は亡き若い教師が彼に贈ったもの、と聞いている。
 レントンの場合、ニルヴァーシュを操り、力を手に入れた子供が1人だけで何かを成そうとしているのとは違う。彼は常にZEXISの一員であろうとするし、エウレカの保護が独力では不可能だという事をよく理解し感情も抑えていた。
 それが、ZEXISを拒絶して欲するものに手を伸ばしたホランド達と、今こうしてダイグレンの中にいるレントンの決定的な違いと言える。
 カラミティ・バースの発生により一瞬で余りにも多くのものを失ったリモネシアで、ZEXISのオリジナル・メンバーはそれぞれが大きなものを背負い込んだ。ジェフリーのような百戦錬磨の指揮官や高齢ながらも奮闘する会社役員・柿小路、エリア11を優先視している黒の騎士団のメンバーに未成年のレントン、そして自由を買い取るまで戦おうとするクロウに至るまで、全く同じ悲しみとインペリウム帝国に対する怒りを自身の中に刻み込んだのだ。
 奇しくも、リモネシア消滅によって開いた扉が、次元獣の王とZEUTHをこちらの多元世界に転移させている。アムロ達は惨劇の前後を比較する事ができず、その件について感情を乗せて語る事はしなかった。
 だからこそ、アムロの楽観的な言葉はZEXISにとって救いとなる。
 ZEUTHという頼もしい戦闘集団を吸収し、ZEX
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