Fate/stay night
1137話
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知した俺は殆ど反射的に叫んでいた。
「スライムッ!」
空間の穴から姿を現した銀色の液体金属は、触手を作り瞬時に振るわれる。
ギギギギギンッ! と連続して発する金属音。
今、何が起きた?
いや、何が起きたのかというのを、俺はしっかりと見ていた。
最初に振るわれた長刀の一撃……否、それは1つではない。
どんな理屈でそうなったのかは分からないが、その長刀が振られた瞬間、間違いなくそこに3本の刀が存在していた。
1つは頭上から真下へと振り下ろされる幹竹割りの一撃。
1つは俺を逃がさないとする為に円で覆うかのような一撃。
1つは横薙ぎの一撃。
丸の中に、十字架を刻むかのような、そんな一撃。
瞬間的な3連撃という訳ではない。間違いなく同時に3つの斬撃が存在したのだ。
相手の逃げ道を完全に塞いでの、絶対的な必殺の一撃。
もしも俺がセイバーであれば……いや、ランサーであっても、ライダーであっても、それこそバーサーカーであってもその攻撃を回避する事は出来なかっただろう。
だが……生憎と俺はイレギュラーサーヴァントである、アークエネミー。
確かに3つ同時の斬撃は普通なら回避出来ないだろう。
英霊であっても、元は人間。手が2本であるのは変わらないのだから。
しかし、俺は違う。
今の俺はスライムを召喚していた。
それこそ、とんでもない量の質量を持ち、自由自在に斬撃の鞭を振るう事が出来、更には自動的に防御すらしてくれる、俺の宝具のスライムが。
ギギギギィン、という甲高い金属音が幾つも鳴り響き……それが終わった後で、そこにいたのは無傷の俺と、俺を守るかのように周辺に存在しているスライムであり……
右手首から先を切断されて握っていた長刀ごと地面に落ちている、アサシンの姿。
「ぐっ……何とも面妖な……」
「悪いけど、俺はセイバーのような剣士でもなければ、お前のような侍って訳でもないんでな。使える武器は幾らでも使わせて貰う」
一応念の為という事でスライムを操作し、アサシンの右手首ごと長刀を階段の下へと放り投げる。
万が一にも拾われて逆襲されたら洒落にならないしな。
「さて……唯一の武器を失った以上、既にお前に勝ち目はない。……消えて貰おうか」
「あら、それは駄目よ」
スライムへと命じようとした、その瞬間に周囲へと響く声。
聞き覚えのあるその声は、以前と同じく空中に浮かんでいたキャスターからのもの。
……ただ1つ違うのは、その腕の中に意識のない綾子が抱かれているという事だった。
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