騎士の章
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王は、その言葉を直ちに実行に移し、関わった者全てに処罰を下したのであった。
王の下した処罰については、近くにいた書記官がこう記している。
ガウトリッツには、王家による全て権威の剥奪と領地の没収。シェパールには財産全ての没収と国外追放。他の貴族達には相応の罰を与え、その一部には領地を返上させた。
アルフレートは民を擁護し続けてきたことを認められ、謹慎処分だけであった。しかし謹慎の間、治世に関与することは許されなかった。
王自らは、この騒動の後始末を終わらせた後に座を退き、王位をアルフレートに譲ることを明言したのであった。
「これでいかがでございましょうか。」
王は伏してマルスに尋ねてた。
しかし、マルスは不満があるようで、王の言葉に幾つか付け足したのであった。
「ガウトリッツは五年の後、王の補佐官をせよ。それまで勤勉に励み、民を敬う精神を養うよう心せよ。エフェトには騎士三等位を与え、新しき騎士組織の結成を命ずる。その組織は権威に関係無く、あらゆる階級の犯罪を取り締まるものであり、貴族の捕縛も許可する。この組織は王直属の機関とし、王を守り助けることを第一に考えよ!」
誰しもが言葉を失っていた。罪人に職を、それも王の側近と言っても過言ではない職を与えるなど、それまでの歴史を紐解いてみても無い事例であったのだ。
だが、それがマルスの狙いだったのだ。
「よく聞け!これからの時代、身分など意味を成さなくなるだろ。努力し、善きことを行う者達が幸いを得るのだ。しかし、自らに甘んずる者達は投げ棄てられるであろう。これは原初の神の決め事である!」
王やアルフレート、エルンストにクレンにその他全ての人々は、マルスと女神エフィーリアへとひれ伏した。
その言葉は力強く、決して揺らぐことの無いものであったからである。
エフィーリアはそれを見届け、微笑んでこう告げたのであった。
「人々よ、心して聞くがよい。神は今、マルスに騎士の称号を与えられた。これより先、この者は<女神の騎士>と呼ばれるであろう。」
そう告げ終わるや、再び白き花弁が辺りに舞い散り、女神エフィーリアの姿は消えてしまったのであった。
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