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SNOW ROSE
騎士の章
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に連れ去られていたアルフレートを救ったのであった。
 それを思った王は、再び深々とひれ伏したのであった。
 だが、ここで終わりと言うわけにはゆかなかった。「王よ、あなたには是非ともガウトリッツ様を指名して頂かなくてはなりませんな。」
 そう言い放ったのはシェパールであった。そこには幽閉されていたはずの王妃が連れてこられており、首筋に短剣が押し付けられていた。
 王はそれに動揺したが、王妃の凛とした姿を見て覚悟を決めて言い返した。
「シェパール、王を選定するのは貴族院の役目だ。我がガウトリッツを推挙したとて叶うわけではない。しかし、そのような卑怯な取引なぞ、我が従うとでも思うてか!」
 王の返答にシェパールは怒り、王妃の首筋に短剣を差し込もうとした時であった。
「止めろっ!」
 シェパールの手にガウトリッツが飛び付いたのである。その拍子に王妃は床に倒れ、難を逃れることが出来た。エルンストはその機を逃さず、倒れた王妃を二人から遠避けたのであった。
 ガウトリッツとシェパールは激しく争っている。
「母上に手を出すとは、何ということだ!貴様に利用されまいと幽閉までしていたと言うに!」
 その言葉にアルフレートが反応していた。まさかこのような理由があったとは、考えもしなかったからである。
 しかし、二人の争いは激しさを増し、終には短剣がガウトリッツの胸に深く突き刺さってしまったのであった。
「兄上っ!」
 ガウトリッツは名を呼んだアルフレートへ視線を向け、そのまま床へと倒れていった。
 アルフレートは直ぐに駆け寄ったが、既に息絶えていたのである。
 シェパールはただ立ち尽くし、その青白い顔でガウトリッツの亡骸を呆然と眺めていた。
 エフィーリアはその一部始終を見届けるや、皆に向かって言った。
「今、神の言葉は成った!」
 そう言い放つと、周囲に白き花弁が舞い散ったのである。その瞬間、息絶えていたはずのエフェトとガウトリッツが目覚め、人々は驚愕したのであった。
 これを合図に、マルスはことを終わらせるべく、力強く言葉を発したのであった。
「原初の神の命である!今こそ変革の時である!」
 そこにある全ての者達は、一斉にマルスへと視線を向けた。
 これだけの奇跡を顕されても未だ信じきれぬ様子で、人々は恐る恐る顔を上げていたのである。
マルスの隣には女神エフィーリアが控えており、あたかも祝福を与えているかの様であった。
「聞くのだ!今、民は苦しんでいる。このような時に争いをしているとは何たる怠慢か!権威とは民あっての力である。貴族もまた人なのだ。軽佻浮薄な精神の者共よ、心せよ!」
 一気に言い放ったマルスは、今度は王に厳命した。
「王と選ばれし者よ!この者達と自らを裁き、国と民を健やかにするのだ。」
 ひれ伏していた
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