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SNOW ROSE
騎士の章
W
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…。」
 アルフレートの問いにマルスは一言だけ答え、馬車の外へ視線を移した。
 そんなマルスの心情を察したかのように、エルンストが別の話題を振ったのであった。
「なぁ、マルス。クベの話を詳しく聞かせてくれないか?」
 エルンストにそう言われたマルスは、視線を車内へ戻して言った。
「メッセンのことか。」
 マルスは来る時に語ったことを、アルフレートに話して聞かせた。
「あれは食物として扱えるのか!?」
 前と似たような反応に、マルスは苦笑せざるをえなかった。その後、幾つかの食物についても話した。
 ミンクルという木の樹液を煮詰めると、黒糖に近いものになること。バルという木の実から油を抽出する方法など、どれもこの国に数多く自生している植物で、直ぐにでも役立てるものばかりであった。
 マルスを除く三人は、彼の見識ぶりに、ただ目を丸くするだけであったという。
「どこでそんなことを…!僕の知らなかったことばかりですよ。それが実行出来れば、かなりの人達が救えますね。」
 クレンは揺れ動く馬車の中で器用にメモを取りながら、一人で頷いていた。
 アルフレートも感心したように頷き、マルスに語り掛けた。
「我ら兄弟の争い故に、民が苦しんでいるのだ。明日にでも早速やってみることにする。雪が降り積もる前に、なんとか決着をつけなくては…。」
 だが、アルフレートが考えている程、その決着が長引くことはなかった。
 たった二日…。それで、この四年に渡る兄弟の争いは幕を閉じてしまうのだ。

 神の怒りによって…。




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