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SNOW ROSE
騎士の章
W
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。お幾つになられましても変わりません。」
 どうやらこのクラウディアと言う老女は、アルフレートの乳母だったようである。王子であるアルフレートも、この老女には頭が上がらない様子であった。
 だが、そんなクラウディアがテーブルに置かれたものを見ながら、何とも済まなそうな顔をして言った。
「アルフレート様、大変申し訳ございません。急な御来客とは申しましても、このようなものしかご用意致せませんでした。」
 クラウディアはそう言って頭を下げたが、そこには山葡萄と柘榴のタルト、乾果実のケーキ、それに木の実の焼き菓子などが並べられており、客人の彼らにとっては大変な持て成しであった。
「クラウディアさん、私達には充分過ぎる程です。小麦も高くなっていると聞いておりますし、お気になさる必要はありません。過分な持て成しを、アルフレート様とあなたに感謝致します。」
 そうエルンストはクラウディアに言った。するとアルフレートはハッとして、エルンストに話し掛けたのであった。
「やはり知っていたか。その話は後程するつもりだったんだがな…。クラウディア、もう下がってよい。」
 クラウディアは主人にそう告げられると、礼を取ってそのまま部屋を出て行ったのであった。
「さて、マルス。我が恩人よ。本当はこちらから出向かなくてはならないところだったのだが、生憎とこの地より離れることの儘ならない身でね。もう少し早く会いたかったのだが…大変申し訳ないと思う。」
 アルフレートはマルスに対して頭を下げた。
 当初は、恩人であるマルスのもとへ自ら赴くつもりであったようであるが、この王家の兄弟の争いはかなり厳しい状態になっているようである。
 それはマルスも知っている。旅の最中に聞いた様々な噂によれば、現王グロリアス二世ですら、この兄弟の争いには中々介入しずらいのだと言う。
 それというのも、王自身がかなりの高齢であるためと、この兄弟の後ろ盾に国の大貴族が付いているためである。
 兄ガウトリッツには南のプロヴィス家、弟アルフレートには北のフォールホルスト家が後ろ盾となっているのだ。
 フォールホルスト家は古くからの名門であるが、プロヴィス家は新参貴族である。しかし、先代国王の妃クリスティアーネがプロヴィス家の出で、そのお陰か政治にも介入出来るほどの力を付けることが出来たのであった。
 要は、この貴族達の勢力争いでもあったのである。
「王子、面をお上げ下さい。私のような者に礼など不要です。」
 マルスは頭を下げたアルフレートに言った。それを受けアルフレートは頭を上げたが、つかさずマルスに言葉を返した。
「マルス。今の時代、自らを律することの出来ない貴族が多い。それでは駄目なのだ。上だろうと下だろうと、礼は正さねばならないものだ。国は民に支えられているのだぞ?何故に貴族が無駄
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