■■SAO編 主人公:マルバ■■
ありふれた冒険譚◆初めての絶望、そして希望
第十三話 レクチャーその二、『パニック制御』 そしてケイタの理想
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て!この攻撃を受けられるのはテツオ以外には君しかいないんだよ!!」
その声がサチの背中を押す。サチは睨むようにしてモンスターを見つめた。
私がやらなきゃ……とは思うものの、身体が恐怖に縛られて思うように動けない。
カマキリが再びその鎌を振り上げた。思わず目をつぶるサチ。その鎌をマルバのチャクラムが斬り飛ばす。
「ほら、サチ、次の攻撃来るよ!!」
その声に目を開くと、また鎌を構えるカマキリが目前に屹立する。そう、このモンスターはカマキリのくせに体長が二メートル近くあるのだ。サチが恐怖するのも当然である。
しかし、サチはこんどこそ恐怖を押さえ込んだ。振りかぶる鎌を盾で押し返す、すると鎌が勢い良く火花を散らし、弾き飛ばされた。『パーリング』だ。
「テツオ、スイッチ!」
とマルバが叫ぶ。テツオが走り出て渾身の一撃を喰らわせた。態勢を崩したモンスターの細い胴にクリティカルが決まる。モンスターは絶望の断末魔と共にポリゴンの欠片となって霧散した。
その夜。
ケイタに呼び出されたマルバは宿屋の一階に現れた。
「どうしたの、急に。」
マルバは丸テーブルを挟んでケイタと向かいあう。
「突然呼び出してごめん。用事ってのはさ、サチのことだよ。」
「サチ?」
マルバは首をかしげる。サチは最近やっと盾の使い方に慣れてきて、このままいけば普通に片手剣士に転向できそうに見える。特に問題はなさそうだけど……?
「サチがどうしたの?」
「いや、マルバがレクチャーを始めてからもう一週間がたつでしょ?それなのにまだまだモンスターに対する恐怖心が消えないっていうか……。ほんとにあと一週間で前衛が務まるようになるのかなって思って。」
「うーん、なんていうか……けっこう順調に進んでいると思うんだけど。だめなの?」
「あれで順調なの?今日だってマルバが鎌を破壊してなければかなりダメージ食らっていたと思うよ?」
「最初あれだけ怖がってたのにここまでできるようになったんだ、いい進歩だと思うけどなあ。」
「でも、それじゃダメなんだ!!」
ケイタは焦ったように声を荒げる。
「前衛がちゃんとしなきゃ、僕たちは死ぬかもしれない!前衛が二人いなきゃダメなんだ。テツオが回復する隙がなきゃ、僕たちは戦えない!マルバも、最初に助けてくれた時の戦闘を見ただろ!?このままじゃ、僕たちが攻略組になるのなんて無理だ!!僕たちはさらに上を目指したいんだ!!!」
テツオが回復する隙がなきゃ、僕たちは戦えない……。
その言い方に、マルバははっとした。これでは、まるで……
「……前衛はテツオがやる、その回復の間だけサチが支えていれば十分だ、とでも言いたげだね。」
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