主街地
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三十五層の主街区。ここは、中層プレイヤーの主戦場となっていて行き交う人が多い。ここに来たのは、攻略以来で久しぶりなので周りを見渡していた。キリトも同じようにしていると二人組みのプレイヤーがシリカに話しかけてきた。どうやら、数少ない女性プレイヤーをパーティーにでも勧誘するものだろう。シリカは、その勧誘を断ってゲツガとキリトをちらりと見て頭を下げて言った。
「あ、あの……お話はありがたいんですけど……しばらくこの人たちとパーティーを組むことになったので……」
シリカがそう言うと不満の声をあげ、キリトとゲツガを胡散臭そうな視線で見てくる。しかし、ゲツガ達の装備はこの層のプレイヤーが見ても強そうに見えない。
なぜなら、キリトの場合、古ぼけたコートに鎧の類は一切なく、武器もシンプルな片手直剣一本。ゲツガも白のフード付きコートに鎧を付けておらず、武器は街の中では装備しない主義なので無装備だ。熱心に勧誘していた両手剣使いがゲツガ達の前に出て、言った。
「おい、あんたら。見ない顔だけど抜けがけ止めてもらいたいな。俺らはずっと前からこの子に声をかけてるんだぜ」
「そう言われても……成り行きで……なあ……」
キリトが頭を掻きながら答える。ゲツガも頷く。するとシリカが両手剣使いに言った。
「あの、あたしから頼んだんです。すいませんっ」
頭を下げて言った後、キリトのコートの袖を引っ張りながら歩き始める。ゲツガはすこし送れてついて行く。すると、先ほどの両手剣使いが未練がましく、今度メッセージ送るよーと言っていた。
しかし、一つ言っておこう。しつこい男は嫌われるぞ。
勧誘プレイヤーの姿が見えなくなると、シリカがゲツガ達を見上げて言う。
「……す、すいません。迷惑かけちゃって」
「いやいや、こういうのは結構慣れてるから。ゲツガなんてあっちにいる時なんてよくあることだし」
「うるさいぞ、キリト。好きで絡まれてるわけじゃねえんだから」
攻略の時のことを考える。最近、五十層攻略後、よくユキが話しかけてくるようになり、それをよく思ってないファンクラブの野朗ども何度も絡んでくる。それよりこちらのほうが幾分ましだと考えた。
そして、ゲツガとキリトは気にしてないと言った。
「しかし、すごいな。人気者なんだ、シリカさん」
「シリカでいいですよ。━━━そんなことないです。マスコット代わりに誘われてるだけなんです、きっと。それなのに……あたしいい気になっちゃて……一人で歩いて…あんなことに……」
そう言うと、シリカの目に涙が滲んでくる。
「大丈夫だ。絶対生き返らせるさ。心配ないよ」
キリトは落ち着いた声で言う。シリカは涙を拭い、微笑んだ。やがて、宿の前に着く。シリカは
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