√明久
glass hopper
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あとそっと抱きしめて――
「?!」
他のみんなも、勿論依子ちゃんも驚いた顔をして固まっていた。
「……おかえりなさい」
「え、あ……えっと……。ただいま」
どういうことなのかは多分霧島さんにしか分からないんだと思う。
「……これからよろしく。雄二は私の夫だから、そこのところもよろしく」
「俺はお前のじゃねぇ。結婚もしていない……」
「大丈夫、私は翔子ちゃんの夫を狙わない。安心していいよ」
「……そうね……。そうよね」
「だから、俺は翔子の夫じゃ―――」
「これから仲良くしましょうね、翔子ちゃん」
二人はまるで雄二の話を聞いていなかった。
少しだけ遅れて鉄人が体育館にやってきた。
『それじゃあ、召喚できるようにするぞ』
「へぇ、これで召喚を……」
初めてこの召喚フィールドを見る人と同じ反応を示した。口で説明されてもなかなか理解するのは難しいし、それを操作につなげるまでにかなり苦労する。実際僕がそうだった。
「それでね、「サモンっ」っていうと、ほらこうやって自分の点数に対応してデフォルメされた召喚獣が出てくるんだよ」
「サモンっ……やっぱり、こんな感じでいいのかな?」
「やっぱり?……って総合教科の点数が姫路さんより、霧島さんより高くない!?」
「そんなバカな話があるか。ただでさえ次席と首席の間にかなりの点数差があるのにそんなわけがないだろう。それにこいつは―――」
「いや、だって……。7038点って相当じゃない?」
「はぁっ?!そんなことが有り得るのか?バグだろ、バグ」
「だってほら。点数がめちゃくちゃ高い人の召喚獣だけにつく腕輪も着けているし、何よりの証拠が表示されている点数だよ。いくら僕がバカだからって数字くらいはちゃんと読めるよ」
「……吉井、それは本当?」
僕と雄二の間を割って入ってきたのは霧島さんだった。
「……依子。私と試験召喚獣、勝負して」
「ん?いいよ。弱いから負けちゃうかも、私。それに操作だってまだそんなに」
「……お互い、手加減なし」
霧島さんが焦った顔をしているのを見たのは初めてだ。相当、依子ちゃんは点数が高いんだな。まぁ、そりゃそうか。あの高橋女史が7000点代だったし。それに限りなく近いのが依子ちゃんだなんて……。誰だって焦るし、何ともコメントしがたい。でもなんでここまで点数が高い依子ちゃんがFクラスに来たんだろう?点数を見る限り頭が悪いわけじゃないのに。
「「試験召喚獣、サモン」」
「……ハンデがあるからって手は抜かない」
「わかった!!私も精一杯頑張らせてもらう」
お互い点数が高いから動きが早い。それに頭がいいだけあって操作が手馴れている。依子ちゃんは初めて操作したとは思えない手さばきだ。互角、いや、それ以上か……?
『下校時間だ。フィールドを閉じるぞ』
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