√明久
始まりの日
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美少女が来るとは思っていなかったし。
「いやいやいや、でもでもでも」
僕の現在の席の状態は日当りがあまりよくない。けれども窓のすぐ横の場所だ。風通しも良く、これからこの季節、この教室で過ごすには最適の場だ。冬は窓から冷気が漏れるから寒いだろうけど。その時は僕とまた交換すればいい。
「うん。だからこっちにおいでよ。冬は寒いから僕とまた、こっちの席と交換しよう」
しばらく悩んで渋々席を交換し始めた。
「ありがとう。えーっと、君の名前は?さっき聞くの忘れたですよ」
「僕は吉井明久」
「なるほどね、吉井君か。よろしくね」
「あ、ついでに僕の友達も紹介するよ。僕は友達が多いんだ」
ついでに、だ。ついでに。
「こいつが坂本雄二」
「こいつとはなんだ、こいつとは」
「まあ細かいことは気にしないでよ。無津呂さんに雄二たちを紹介しようと思ってね」
「あぁ、俺は今ここのクラスの代表をやっている」
「よろしくね、えっと……雄二?んー……馴れ馴れしいかな」
いきなり名前で呼ばれていて羨ましい。恨むぞ雄二。
「別に、それでいいよ」
「オッケーっ。雄二!いや、でも――」
「お前に任せるよ」
「やっぱり、坂本君って呼ぶです。苗字に「君」をつけて呼ぶと、私おしとやかみたいだから!みなさんの理想像ですよ」
何という安直な考え……。さっき僕が吉井君って呼ばれたのもこの考えに沿った呼び方なのか。
「えーっと、より……っ……無津呂。分からないことがあったら聞いてくれ。少なくとも、明久に聞くよりはまともな答えが返せるだろうからな」
一瞬、名前で呼びかけたような……?まあ、やめておいて正解かな。そんなことしようもんなら霧島さんに一突きで処さ――。いや、なんでもない。そんなことより僕はバカにされたような気がするけど、敢てスルーする。
「次は、そうだなぁ……。秀吉にしよう」
秀吉と無津呂さんがとても仲良くなってくれたらそこはもう花園待ったなしだ。仲良くイチャイチャしてくれたらムッツリーニに写真集を作ってもらおう。ヒミツの花園形成計画までもう秒読みだね。
「秀吉?」
「秀吉って、名前は一見男子っぽいけれど実は女子なのさ。演劇部のホープなんだよ」
「坂本君に秀吉ちゃんに……あと他のお友達は?」
秀吉ちゃん、という呼び方にちょっとだけ違和感があったが、秀吉は女の子なんだから間違いではない。
「あのカメラをいじっているのは、ムッツリーニ――じゃなくって土屋康太」
危ない、もう少しでムッツリーニがムッツリーニだってことがばれてしまうところだった。
「その名からしてあの子は……!」
「気づいてしまったか」
「やはり、そうであったか」
静かにうなずいてハイタッチをした。僕らの静寂の中に、手を合わせた音だけが響いた。
「そしてあそこの女子2人もね。ポニ
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