35話 ≪仲間の意味≫
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「 ───あの子は何故、必要以上に私を気に掛けるのだろうか」
エーコとジタンが去った後を何気なく見つめたまま、誰に問うでもなく呟いたように云うマゥスンにフライヤが答えた。
「そうじゃのう……、私から見てもおぬしは、どことなく危うい。飛んで火に入る夏の虫のように、自ら進んで危険や災難に飛び込みその身を滅ぼしてしまうのではないかと、不安にさせる。エーコも無意識の内に、そのように感じておるのやもしれぬな」
「 ───── 」
表情を変えず僅かに下向き沈黙したマゥスンに、軽く溜め息をついたサラマンダーが口を挟んだ。
「不安にさせてる意味が、よく判らねぇらしいな。お前の仲間って奴らが、少し不憫に思えてきたぜ」
「おぬしがそれを云うのか? つい最近似たような状況に陥っていたとは思えぬ云い草じゃのう?」
「それを云うな、フライヤ」
皮肉めいた事を云われ、バツが悪くなるサラマンダー。
「ともかくマゥスンよ、難しく考える必要はあるまい。他愛ない会話から始めて、仲間と打ち解けてみてはどうじゃ?」
「 ………。そのように努めてはみるが、やはり判らない。必要以上に接する事に、意味があるのだろうか」
「なら聞くが、お前は何の為に他の奴らと行動を共にしてる?」
サラマンダーの問いに、マゥスンは淡々と答える。
「 ───成すべき役目を果たす為」
「その役目ってのは、お前独りで成せる事か? だとしたら始めから、他の奴らと組む必要はねぇはずだろ」
「 ………… 」
「そっちの事情は知ったこっちゃねぇが、お前が馴れ合う気がなくても他の奴らにとってお前は、必要とされてるんじゃねぇのか。お前自身もそれに応えようと、元居た世界とやらに戻ろうとしてるんだろう。……意味なんざ、それで充分だと思うがな」
「なら、こちらからも問わせてほしい。サラマンダーは、ジタンを見極めるという名目で行動を共にしてきたそうだが、どういった理由からか、教えてもらえないか」
マゥスンにしては珍しい問いに、サラマンダーはすぐに言葉が出てこなかった。
「私は席を外そう、ここから先はおぬしら二人で語らうと良いぞ」
「おいフライヤ、余計な気を遣うんじゃねぇ。お前には以前、トレノで話したとはいえ……ここに居ろ」
二人きりにされるのが嫌なのか、フライヤを引き留めるサラマンダー。
「俺は二度、奴に負けている。大した力を持っていながらそれを見せつけず、ただ仲間とつるむ奴が理解できなかった。どれほどの者か見極めるため、付け狙う事にしたが……奴にしてみれば俺は戦力の1人であり、どんな理由であれ行動を共にしてきたからには俺を仲間だと抜かした。……結局、奴の思考に敵わなかったってとこか」
「ジタンは、会
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ