九話:進みゆく歯車
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状況は静かに、しかし大きく動いていた。
「みんな、今から大切なお知らせがあります」
「と、言いますと?」
「今夜はすずかちゃんが家に来てくれるんや。やから鍋パーティーをします」
今日はすずかがはやての家に遊びに来てくれる日なのだ。
今まではお稽古や習い事の関係で遅くなるので家に呼ぶのを遠慮していた。
しかし、はやて自慢の料理が食べてみたいというすずかの希望と友達を家にお招きしたいというはやての希望が見事重なり実現したのだ。
「そういうわけなんでみんなも夕飯に間に合うように帰って来てな」
「はい、確かに主はやてからの命を承りました」
「ヴィータも老人会のおじいちゃん達に捕まり過ぎんといてな」
「分かってるよ。大体あたし達がはやて以上に優先するものなんてないんだから」
「そうですよ。私達ははやてちゃんの騎士なんですから」
恭しく首を垂れるシグナム。
少し恥ずかしそうに頷くヴィータ。
微笑みながらはやての手を握るシャマル。
無言ながら誰よりも主からの命を忠実に守ろうと誓うザフィーラ。
どんな些細なことであっても主はやてからの命は何に代えてでも守るべきものなのだ。
特に一つの命を破っている以上は他のものは是が非でも守ろうと決めているのだった。
「あはは、なんかそう言われると照れるなぁ」
「そう言われてもこれが我らの在り方ですので」
「そう言えば、おとんは? おとんにも伝えとかんと」
「切嗣ならさっき自分の部屋に行くのを見たぞ」
「お仕事かいな? なら、買い物は一人で行かんとな」
「あ、それだったら私が着いていきますよ。はやてちゃん」
のんびりとした空気が流れる。
騎士達も今日は早めに切り上げて主の願いを叶えようと漠然と考える。
そのことが新たな戦いの引き金になるとも知らずに。
少女達との二度目の邂逅はその日の夜にやってきたのだった。
「管理局か……」
日が沈み星の光以外に明りがない闇夜の空にヴィータとザフィーラは浮いていた。
周りを管理局員の武装局員と強装結界に囲まれながら。
もし、普段通りの時間に戻って来ていたのなら見つかる事は無かったのだろうが鍋に間に合わせるために早めに戻って来たのが裏目に出た。
「でも、こいつら程度ならどうってことはないよ。寧ろページを一気に稼げる」
「確かにな。だが……なぜ仕掛けてこない?」
囲まれたことは確かに不利だ。だが、相手の練度では自分達の足止めだけでも精一杯のはずだ。
管理局側もそのことぐらい分かっているはずだ。
そうなれば別の理由があるはずだ―――足止め?
何かが頭に引っ掛かった所で武装局員達が離れていく。
最初から相手の目的は足止め、時間稼ぎに過ぎなかったのだ
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