第三章
[8]前話
「精々半分位だな」
「実際それ位です」
「雀達が食べるさくらんぼの分は」
「毛虫達も食べますので」
「それに他の場所でも食べますので」
「ならだ」
それならというのです。
「私のさくらんぼを雀達にも分けよう」
「半分でもですね」
「それ位でもですね」
「雀達に与えて」
「毛虫達を食べますか」
「そうするとしよう」
こう言ってでした、王様はすぐにかかしや鳴りものをどけさせてです。雀達を桜の木に戻って来る様にしました。
するとです、雀達はさくらんぼも食べますが。
毛虫も食べます、こうして王様は再び大好きなさくらんぼを食べることが出来る様になりました。それでなのでした。
さくらんぼを入れたタルトを食べながらです、しみじみとして周りの人達に言うのでした。
「欲を張って独り占めをしてはいけない」
「さくらんぼもですね」
「それもですね」
「そう、若しそうしようとしたら」
その時はというのです。
「こういうことになる」
「かえって、ですね」
「何も食べられなくなる」
「そうなってしまいますね」
「そのことがわかったよ」
本当にというのです。
「それでさくらんぼもなくなってしまった」
「さくらんぼに限らず」
「若し独り占めしようとすればですね」
「何もかもがなくなってしまいますね」
「ましてや何かをする前に碌に調べないでやると」
王様が雀達にした様なことをです。
「こうしたことになる」
「ではこれからは」
「陛下もですか」
「こうしたことはですね」
「気をつけられますか」
「事前に調べてしかも独り占めは避ける」
王様はタルトの中のさくらんぼを食べながら言います。
「そうしていくよ」
「欲張りは泣きを見ますね」
周りの人の一人が言いました、王様はその人の言葉を聞いて頷くのでした。
王様とさくらんぼ 完
2015・8・19
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