第二章
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「雀が近寄らなくなったのはいいことだ」
「はい、これで、ですね」
「さくらんぼは全て陛下のものですね」
「全部召し上がられますね」
「そうなりましたね」
「うん、いいことだよ」
とても、というのです。
「雀達に食べさせてなるものか」
「さくらんぼはですね」
「陛下の果樹園にあるそれは」
「私のものだ」
自分の持っている果樹園に実っているものだからです。
「それを雀達が食べるなぞな」
「あってはならないこと」
「だからですね」
「ここはかかしや鳴りもので寄せ付けない」
「そうされていますね」
「この通り、さくらんぼはこれから全て私のものだ」
王家の果樹園に成るものはというのです。
「今日も明日も食べよう」
「では明日はどうされますか」
「どんなお料理にされますか」
「ケーキがいいね」
さくらんぼのケーキをというのです。
「それにしよう」
「わかりました、ではそれを作らせてもらいます」
シェフの中にいるパティシエの人が応えました、そしてでした。
王様はさくらんぼを楽しみ続けました、ですがある日のことです。
シェフの人達にです、こんなことを言われました。
「何っ、さくらんぼがない!?」
「はい、そうです」
「どの木にもです」
「さくらんぼがありません」
「一つも」
「雀は追い払った」
まずはこのことから言う王様でした。
「そして誰か取るということもだ」
「陛下の果樹園です」
「誰が取りましょうか」
厳重に管理されているうえに皆が慕う王様のものです、それでどうして取る人がいるのでしょうか。そんな人はプロイセンにはいませんでした。
それで、です。王様もいぶかしんでシェフの人達に尋ねました。
「では一体誰がやったのかね」
「はい、虫です」
「毛虫達がです」
「桜の木のさくらんぼ全てです」
「食べてしまったのです」
「そういえば」
シェフの人達の話を聞いてです、王様もはっとして気付きました。
「桜の木には多かった」
「はい、毛虫が」
「そしてその毛虫達がです」
「さくらんぼを全てです」
「食べてしまったのです」
「そうだった、そしてその毛虫達を食べるのは」
このことについてもです、王様は言いました。
「雀達だった」
「はい、そうでした」
「それでさくらんぼ達はです」
「一つもありません」
「わかった、ではだ」
それならとです、王様はすぐにこう言いました。
「こうなれば仕方がない」
「仕方がない?」
「と、いいますと」
「どうされるのですか」
「かかしも鳴りものもどけるのだ」
雀達を追い払っていたそれをというのです。
「そして雀達に毛虫達を食べてもらおう」
「そうされますか」
「しかしそうしてしまうとです」
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