第一章
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王様とさくらんぼ
プロイセンのフリードリヒ大王は美味しい食べものが大好きです、それで毎日宮廷のシェフ達に言うのでした。
「フランス料理をいつも出してくれ」
「はい、そしてイタリア料理もですね」
「そちらもですね」
「そう、必ず出してくれ」
こう注文するのでした。
「朝とお昼にね」
「そしてお客様がおられる時はですね」
「晩もですね」
「用意するのですね」
「そう、頼むよ。そして明日はね」
メニューの注文も忘れません。
「鰻料理を頼むよ、香辛料を利かしてね」
「胡椒もですね」
「そちらも」
「そう、あとジャガイモも忘れないで」
大好物で国民にも食べる様に勧めているこれもというのです。
「料理する様に、そして果物は」
「はい、さくらんぼですね」
「今の季節は」
「それをですね」
「召し上がられますね」
「さくらんぼ自体も。それに」
さらに言う王様でした。
「さくらんぼを使って作ったお菓子もね」
「わかっています、それでは」
「作らせて頂きます」
「そしてどうぞです」
「お楽しみ下さい」
「そうさせてもらうよ」
こうした注文をするのでした、王様は政務の間とかく食べることを考えていました。王様は美味しいものを食べることが大好きであるからこそです。
それでこの時はさくらんぼを楽しんでいました、ですが。
お食事の最後のデザートの時にです、王様はさくらんぼを沢山使って作ったお菓子を食べながらシェフの人達に尋ねました。
「今日になんだね」
「はい、そうです」
「今日もです」
シェフの人達は王様に残念そうに答えました。
「鳥達が、です」
「さくらんぼを食べてです」
「それで陛下が召し上がられるさくらんぼはです」
「その分減ってしまっています」
「それはよくない」
王様はそのさくらんぼを食べながら怒って言いました。
「昨日も今日も私のさくらんぼを食べるとは」
「雀です」
「その鳥達は」
「どうされますか、彼等を」
「決まっている、退治するのだ」
王様はシェフの人達だけでなくです、傍に控えている家臣の人達にも言いました。
「桜の木に集まる雀達を全て」
「寄せ付けない」
「そうされるのですね」
「そうだ、かかしを置き鳴りものも仕掛け」
そうしたことをしてというのです。
「雀達を寄せ付けない様にしよう」
「狩猟官に狩らせますか」
「雀は多い、狩猟官にいちいち狩らせては埓が明かない」
王様は狩るよりも、というのです。
「かかしや置きもの、そうしたものの方がずっといい」
「では」
「桜の木を守るのだ」
さくらんぼが鳴るそれをというのです。
「是非な」
「わかりました、では」
「すぐにかかります」
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