第二章
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優樹菜達も塾は親に車で迎えに来てもらっていた、それは美奈子もだった。
優樹菜は学校でだ、美奈子にこう話した。
「お母さん言ってたの、本当にね」
「夜に雨が降っていると」
「変な人が出るらしいのよ」
こう話すのだった。
「それでね」
「一人で歩いている女の子を」
「攫って悪いお金持ちに売るらしいわ」
「やっぱり本当のことなのね」
「そうみたいよ」
「そうなのね」
優樹菜は美奈子の言葉に強張った顔で応えた。
「じゃあ本当に用心しないと」
「私達もね」
こうした話をしていた、だが。
美奈子は不安になってだ、家で母にこう言った。
「お母さん、夜に雨が降ってると」
「女の子が攫われるっていうのね」
「そう聞いてるからね」
「わかってるわ、ちゃんとね」
「塾の帰りには」
「迎えに行くわ」
母は娘に確かな顔で約束をした。
「だから安心してね」
「お願いね、雨の時は」
「雨の時だけじゃないから」
母は美奈子にこうも言った。
「これからは晴れでもよ」
「雨じゃなくてもなの?」
「確かに雨の時にっていう話だけれど」
それでもとだ、母は娘にかなり真剣な顔で話した。
「晴れでも出て来ないって言えるの?」
「ううん、それは」
「そうでしょ、女の子一人は狙われやすいし」
晴れの時でもというのだ。
「だからね」
「これからは何時でもなの」
「塾の帰りはお母さんが車で迎えに行くわ」
「そうしてくれるのね」
「女の子は用心しないと」
くれぐれもという口調での言葉だった。
「だからね」
「ううん、何か大事になってきてない?」
「大事よ。噂は噂だけれど」
それでもというのだ。
「その話が嘘だとはわかっていないでしょ」
「確かじゃないからなのね」
「その話が確かなものに、それも美奈子ちゃんにそうなったら大変よ」
母としての言葉だった、完全に。
「だからお母さん守るから」
「そうしてくれるのね」
「そう、だからこれからは塾の帰りは何時でもだから」
迎えに来るというのだ、車で。
そうしたことを話してだ、そしてだった。
美奈子は塾の帰りはいつも母に車で迎えに来てもらうことになった、それは優樹菜も同じだった。それで二人は安全になったが。
それでもだ、二人は学校でその雨の夜のことを話すのだった。噂は新しい段階に入っていた。
「また出て来たらしいのよ」
「そうなの?」
「それでまた女の子がいなくなったそうなのよ」
「傘だけを残して」
「そうらしいわ、だからね」
「私達も気をつけないとね」
「一人で夜に雨の時に歩いているとね」
女の子がだ。
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