第一章
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ベーカー街
ノリッジに住む小学生ヘンリー=バルカンはこの時真剣に悩んでいた。
栗色の髪の毛を掻きむしり黒い瞳を暗くさせてだ、ソバカスの目立つやや低い鼻を持っている顔を顰めさせてだ。
どうしていいかわからなかった、それでクラスメイト達にも尋ねた。
「うちの猫何処に行ったのかな」
「ああ、迷子になってるんだよね」
「それで家族中で探してるんだよね」
「ヘンリーも毎日学校から帰って夜まで探してるんだよね」
「そうしてるんだよね」
「けれど見付からないんだよ」
その猫がというのだ。
「何処に行ったのかね」
「ううん、何処に行ったのか」
「確かに気になるよね」
「僕達もそうなったら」
「心配で仕方ないよ」
「何処に行ったのかな」
また言うヘンリーだった。
「本当に」
「探偵さんに探してもらうとか?」
ここでクラスメイトの一人がこんなことを言った。
「そうしてもらったら?」
「探偵さんに?」
「うん、探偵さんのお仕事にはそういうのもあるんだ」
「悪い奴の秘密を暴くのがお仕事じゃないんだ」
「その他にもだよ」
「いなくなった猫を探してくれるんだ」
「そういうこともしてくれるんだよ」
こうヘンリーに話すのだった。
「だからね」
「探偵さんにお願いすればいいんだね」
「そうしたらどうかな」
「そうだね、探偵さんにお願いするんだったら」
ここでだ、ヘンリーは。
少し考えてからだ、クラスの皆にこう言った。
「ホームズさんにお願いするよ」
「シャーロック=ホームズさん?」
「あの人にお願いするんだ」
「そうするんだ」
「名探偵さんに」
「うん、そうするよ」
こう言うのだった。
「ここはね」
「そうだね、ホームズさんならね」
「あの人に解決出来ない事件なんてないからね」
「だからね」
「猫だってすぐに見付けてくれるね」
「絶対にね」
「だからね」
それでとだ、ヘンリーはさらに言った。
「ちょっとお願いするよ」
「ホームズさんに」
「そうするんだ」
「そうだよ、ホームズさんにお手紙書いて送るよ」
是非にと言ってだ、そしてだった。
彼はすぐに手紙を書く用意をはじめた、ここで先程とは別のクラスメイトが彼にこんなことを言った。
「ホームズさんの住所知ってる?」
「ええと、何処だったかな」
「ロンドン市ベーカー街だよ」
このことをだ、ヘンリーに教えた。
「そこの二二一番地Bだよ」
「そこがホームズさんの住所だよ」
「そこにお手紙を送ればなんだ」
「ちゃんと切手を貼ってね」
このことも忘れてはいけないというのだ。
「そうしてね」
「送ればいいんだね」
「そうすればホームズさんが来てくれてね」
「猫
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