第四十二話
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来いな気候だもんねぇ……。
言われた通りに見張り台へと向かっていけば、見張り台の下で男女の笑い声が聞こえてくる。
爽やかな好青年といった男の声と、まだまだ少女といったあどけなさが残るその声は何だか理想のカップルって感じだった。
「なるほど、元親がなぁ……。まぁ、ここに顔を出すと言っていたから、じきに現れるだろう。それまで待つといい」
「ありがとうございます、家康さん!」
……お? この声ってもしや、鶴姫ちゃん?
おいおい、爽やかなカップルってそれは不味くないかい? まさかの三角関係に発展とか?
「おう! 家康!」
そんな私のハラハラを全く気付かずにズカズカと踏み込んでくるアニキは空気が読めていない。
でも向こうも慌てた様子が無いからまだ良いのかしら。
「おっ、噂をすれば……元親! お前に客が来ているぞ!」
客、と言われてアニキが少し驚いた顔をした。
そりゃそうだ、家康さんの側にいるのは鶴姫ちゃんなんだから。
つってもさぁ、いくら何でも、客が鶴姫ちゃんだってのは分かるでしょうが。普通に声が聞こえてたわけだし。
「お、おう、鶴の字……何してやがんだ。こんなとこで……勝負の真っ最中だろうが」
「分かってます。でも、一応言っておかなきゃと思って、ここで待ってたんです」
言っておかなきゃって……何だろう、鶴姫ちゃんもその気になってきたとか……?
それなら超展開過ぎて笑えるんだけど。っていうか、良いネタ拾ってきたって思えるんだけど。
「船に戻って、いろいろとガラクタを弄って動かしてみました。
中には動かないものもあったけど、可愛い仕掛けがたくさん出てきて……あれは、贈り物のつもりだったんですか?」
おおっと、直球で来ました。いや、まだこれは質問のうちだ。
さぁ、アニキどうする。どう出る? ここで素直になれなきゃ、男が廃るよぉ?
「たっ……たまたま、作って勿体無ぇからくれてやっただけだ! べ、別に鶴の字にやろうと思って作ったわけじゃねぇ!」
いやいや、それってどう考えても鶴姫ちゃんにあげたくて作ったって言ってるようなもんだし。
ほら、家康さんも野郎共も、ついでに家康さんの家臣までニヤニヤして見てるし。
でもま、アニキにしちゃ合格点か。素直に言えるくらいなら、そんな不法投棄紛いのことしないだろうしね。
「ありがとうございます。ゴミなんて言ってごめんなさい」
ぺこりと頭を下げてお礼と詫びを言った鶴姫ちゃんに、アニキが呆気に取られている。
その光景に噴き出しそうになったけれど、そこは必死に堪えたもんだ。
まだだ……まだここは、笑うところじゃない。きっとこの先に笑いのポイントが出てくるはず……。
「へ? ……お、お
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