第一章
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つまらない男
枝野由紀夫は国会議員、それも野党第一党である主民党の領袖の一人だ。この政党が政権に就いたら閣僚それも重要ポストは間違いないとさえ言われている。
東大法学部を出ており弁護士免許も持っておりマスコミや知識人とも懇意だ。実家は資産家であり
妻も名家の出身だ。
しかしだ、彼と実際に会った八条新聞の政治部長池田経正はこう言った。
「あいつは駄目だ」
「どうしてですか?」
「中身がない」
新米記者の山本正臣に答えた言葉だ。
「全くな」
「ですが主民党では」
「領袖の一人だな」
「はい、論客でもありますし」
「確かにテレビでも出ているな」
「討論番組なんかででも」
まだ十代の名残が残る顔でだ、山本は言った。二人は今取材中で池田の運転する車である国会議員のところに向かっているのだ。
「よく政策を言ってますよ」
「与党の政策を批判しているな」
「はい」
「だからだな」
「駄目とはです」
「思わないか」
「僕は」
「それならな」
池田は運転しながら難しい顔で助手席の山本に言った。
「あいつの話を聞いてみろ」
「討論の時のですか」
「新聞とかで言っていることもだ」
「つまり発言をですね」
「全部検証しろ」
こう山本に言うのだった。
「検証も仕事だ」
「ジャーナリストの」
「政治家の発言の内容にしても記事の事実にしてもな」
「検証してこそですね」
「ジャーナリストだ」
真のそれだというのだ。
「日本には少ないがな」
「残念なことに」
「嘘を垂れ流してもだ」
「それも意図的な、ですね」
「許される世界だからな」
「日本のジャーナリズムは」
「報道資格の剥奪なんてな」
どれだけ悪質な捏造記事、捏造報道を繰り返してもだ。
「ないからな」
「だから新聞もテレビもですね」
「嘘を垂れ流す」
「何度もですね」
「そうなっている、しかしだ」
「真のジャーナリストならですね」
「それは絶対にするな」
捏造記事を作ったりすることはというのだ。
「絶対にだ」
「ブン屋は嘘を書くな、ですね」
「嘘はばれる」
絶対にという言葉だった。
「そして嘘を言うマスコミはだ」
「その時はよくても」
「後でかえってくる」
「その嘘が」
「そして誰からも信用されなくなってだ」
マスコミは真実を報道することが義務だ、しかしその義務を放棄して捏造を垂れ流す様なことを続ければというのだ。
「終わる」
「そうなりますね」
「だからだ」
それで、というのだ。
「捏造はせずにだ」
「事実を検証して」
「事実を報道しろ」
「それが真のジャーナリズムですね」
「だから枝野もだ」
彼についてもとだ、池田は太った顔にかけて
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