第五章
[8]前話
「また二度漬けしてな」
「他のお客さんにか」
「怒られてか」
「ああ、他の常連のお客さん達にな」
美作は陽気な笑顔で話した。
「昨日も皿に痰吐いて二度漬けしてな」
「遂に怒られてか」
「店から追い出されたか?」
「そうなったか」
「それで出入り禁止食らったよ」
常連の客達からというのだ。
「よかったよかった」
「お客さんあっての店だけれどな」
「やっぱりお客さんのマナーって大事だよな」
「それが悪いとな」
「もう最悪だからな」
「ああ、本当に困ってたからな」
その最悪のマナーの客にというのだ。
「店の方からは中々言えないからな」
「お客さんだからな」
「どうしてもな」
「そろそろ言わないとって思ってたけれどな」
そこで、というのだ。
「お客さん達が言ってくれてよかったよ」
「それは何よりだったな」
「自分達で言わずに済んでな」
「ことが済んだ」
「それって最高だな」
「本当にそうだよ、よかったよかった」
満面の笑みでの言葉だった。
「そっちもな」
「何か昨日までと違うな」
「表情も雰囲気もな」
「そこまで嬉しいんだな」
「悩みが全部消えて」
「そうだよ、もう何か今はな」
今にも踊らんばかりの調子でだ、美作は言った。
「生きていて楽しい気分だな」
「そこまでか」
「そこまで嬉しいんだな」
「今は」
「そうだよ、阪神が勝って便秘が治って」
「猫も大人しくなって嫌なお客さんも消えた」
「一気に事態が好転したな」
仲間達も言う。
「これ以上はないまでにな」
「だからだな」
「これ以上はないまでにいいさ、音楽だってな」
部活もそれもというのだ。
「この前までとは全然違ってな」
「いいか」
「気持ちよく演奏出来るか」
「楽しめるさ、じゃあやるか」
肩に持っていたケースからだ、そのベースを自分から出して言った。
「これからな」
「よし、じゃあな」
「楽しくやるか」
「悩みが全部消えたところで」
「楽しくな」
「そうするな、前までは辛かったけれどな」
それでストレスの塊になっていた、もうどうしようもないまでにだ。
「今は違うぜ、嘘みたいに気分がいいな」
「人間生きていれば辛くなったり楽しくなったりする」
「ストレスが溜まることも」
「どっちもあるんだな」
「そういうことだな、じゃあ今日は気持ちよくやるか」
早速ベースを奏ではじめた、今彼にはストレスは全くなくだ。実に気持ちよく音楽を楽しみ仲間達と共に遊んだ。すっきりとした調子でさらにすっきりとなったのだった。
ストレスが消えて 完
2015・9・19
[8]前話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ