機動戦士ガンダムSEED編
第22話
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そのMS、ザフトで主に使われているジンは本来砂漠に適したMSではなく、少なくともバクゥ相手に砂漠で優位に立つのは至難の技だ。
─だが、それをあのパイロットはやってのけた。クルーゼを退けたという情報を受けた時点でかなり手練れだとは予想していたが、まさか差し向けたMS部隊の殆どを撃破するとは考えてもみなかった。ある程度機体の調整はしているのだろうが、それでも彼が警戒を強めるには十分だった。
一番まずいのはこの状況で救援に来られる事。一対一ならまだしも二対一で戦う事になった場合は勝てる見込みはまず無くなる。それを避ける為にはどうしてもまだ一騎打ちになっている今のうちに決着をつける必要があった。
「本当は、あの子とあまり戦いたくないんでしょう?」
不意に、サブパイロットであり、バルトフェルドのパートナーでもあるアイシャがそう口にした。
バルトフェルドは、やはり彼女にはお見通しか、と微笑を浮かべながらその通りだと認めた。
「彼は今までに見たパイロットの中でも強く、面白みのある子だったからね。できる事なら投降を呼びかけたいところだが……恐らくそれに応じる事はないだろう」
バルトフェルドは心底残念そうにそう告げる。
バルトフェルドとキラは今から数日前に初めて会い、少しの間話をした関係にしか過ぎない。
キラの中でバルトフェルドがどういう風な存在になっているかは彼には分からないが、彼にとってキラは、それより前のアークエンジェルが地球に降り立った最初の晩に襲撃を掛けた時から気になっていた存在の一人だった。
あの時、ジンのパイロットの戦闘力の高さと同じ位に、戦闘中にOSを書き換え、すぐに砂漠という想定していなかった環境に自身のMSを対応させたその能力にバルトフェルドは驚きを隠せなかった。
故に、街中で出会った少年がそのパイロットだという事に気付いた時は是非話をしてみたいと思い、ブルーコスモスの襲撃の際キラの連れであった少女の服にかかったチリソースをおとすというのを口実に、ザフトの前線基地に隣接してある屋敷に招待した。
実際に話してみればキラは実にバルトフェルドにとって好印象な要素を備えており、同時に死なせるには惜しい人材だと感じた。
──だが、キラは連合軍の兵士であり、バルトフェルドもザフトの部隊長だ。敵は敵でしかなく、どうあっても対決は避けられない。
「ええ。多分、あの子は何か守りたい人がいるからこそ戦っている──そういう風に感じたわ」
「ああ。だから此方に下る事はまず有り得ない。この戦いは、どちらかの死でのみしか決着を迎えないだろう」
その時だ。モニターに映るストライクはバルトフェルドとアイシャの駆るラゴゥの猛攻についに押し負け、その態勢を崩してしまう。
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