第6話「さいかい」
[3/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「三年B組、工藤遼だ。事件当日、家で寝込んでてな。そこからここまで避難してきたって訳だ。」
「同級生...って家から!?よくここまでこれたな!?」
「家の窓と玄関が頑丈だったからな。親もちょうどいなかったし、運よく免れただけだ。ここまでこれたのは...一重にこれとこれのおかげかな。」
銃と模造刀を見せる。
「え、ちょ、これ...本物?」
「刀は模造刀だが、銃はれっきとした本物だ。」
持とうとして伸ばしてきた手を引っ込められる。
「...どこでそんなものを?」
「あーっと...親父が元軍人でな。どういう訳か、いざという時のために金庫の隣の鍵付きの棚に入ってた。」
「凄い家だな...。」
まぁな。俺も我ながら凄い家だと思う。
「...まぁ、俺も一度噛まれてやばかったけどな...。」
「えっ!?」
「あー、大丈夫大丈夫。運よく地下に辿り着いてワクチンを打ったから。」
噛まれた事に驚いたので、説明すると安堵した表情をする二人。
「....由紀さんは..?」
「由紀は....。」
「隣で寝ています。」
その答えにホッとする先生。皆何とか無事だったからだろう。
「ただ由紀は...。」
「っ...由紀さんが、どうしたの...?」
何かあったようで深刻な表情をする二人。
「...めぐねえが、襲われたのをきっかけに、現実逃避をしているというか...。」
「...由紀ちゃんは、あの日のあの後、熱を出して寝込んでしまったんです。それで、昨日目を覚ましたんですけど、そしたら...。」
聞けば、その子の中ではパンデミックは起こってなく、普段通りの学校生活を送っているつもりらしい。...現実逃避、つまりその子には今の惨状が見えていないそうだ。先生も襲われたはずなのに、普通にいる事になっていたらしい。
「確かに、こんな状況にでもなれば現実逃避もしたくなるよな...。そこに先生が襲われてしまったっていう事実だ。むしろ、精神が崩壊していないだけ凄いとも言えるな。」
「....そんな他人事みたいに...。」
「うん?」
「そんな他人事みたいに言わないでよ!あの子が、どれだけ苦しんでいるのか...!」
後ろの方にいた茶髪の少女がそう言う。
「お、おい..!」
「っ...ごめんなさい...一人でいたあなたも十分大変だったものね...。」
「いや、実際他人事みたいに言ってたしな。そこは謝るよ。」
軽率な発言だったな。...しかし、随分大事にされてるんだな。由紀とやらは。
「....二人は、私がいなくなってから、どうしていたの?」
「...めぐねえが襲わ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ