第十一話
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レミリアも限界が来ていた。
人間とは比べ物にならない程強靭な身体を持ってはいるが、産まれてこのかた、戦闘経験など皆無。
それに、極度の運動すらしたことが無い。
箱入り娘として育てられて来たレミリアはそれでも、吸血鬼としての力は今までの生涯をかけてきた男と同程度だが、レミリアには足りないものがある。
技術?経験? それらは種族の差が、埋め立てる。
足りてないものは────気持ち、メンタル、気力。レミリアにはそれが足りていない。
男がレミリアの動きに今現在ついてこれているのも、それによるものが大きい。
根性論と言われればそれまでだが、男は人、人から外れた動きを行うことすら本来なら出来ないのに、ましてやそれを延々と続ける事など不可能だ。
それなのに息切れで、言葉を詰まらせること無く話し、更にそのまま動くのだから。
少なくとも一般的な生物が行える行動で無いのは明らかである。
ふり降ろされた剣を『グングニル』で防ぐと、なぎ払う。
男も防がれると、同時に跳躍してレミリアと距離を取る。鉄と鉄、武器と武器がぶつかり合う戦闘音が止んだ、訪れる静寂。
周りに居たはずの妖怪達はもう居ない。
逃げたか、二人の戦闘に巻き込まれてしまったのだろうが、当の二人にはそんな事を気にする余裕など無い。
目の前の奴から目を離したら殺される。
これが、二人の共通した思考。
その為二人は妖怪がいない事に気づかない。いや、気づいているが“確認”しない。する必要も無い。
したら死ぬ、だからしない。単純な事である。
ピリピリとした緊張の中、二人は同時に動き出す。
剣と槍、二つが再びぶつかり合う────その刹那、
ブブブ………。
辺りに響く不快な音。
虫の羽音の様な音がレミリアと男の耳に届いた。
レミリアはこの音の正体は解らない、男も同様だ。
二人の目が合う。そして、二人揃って音のする方を“見上げた”
「なっ………!?」
レミリアが狼狽の声を上げた。
それは虫。頭程の虫が何十、何百、何千とひしめき合い空を覆っていた。
不快な羽音に加え、虫の節々がバキバキとなり響き、レミリアの肌に鳥肌が立った。
“ギギー!”
一匹の虫が鳴いた。
それを皮切りに二人の元へ多数の虫たちが殺到する。
いや、正確には男の方へ────
「なっ!何な─────がぁぁぁぁぁ!?」
虫が男へ群がっていく。
男は、最初こそ虫をきり伏せていたものの、先程までの戦闘と数には勝てず、僅か数匹を切った辺りで、押し倒されて、群がる虫に飲み込まれた。
あっという間に男は見えなくなった。
虫が群がり、小さな山みたくなったものから、肉の千切れる音と男
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