第十話
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達を掻き分けて、私の目の前に現れた男。
気だるげな、この世の全てが面倒臭いと言わんばかりの表情で男はそう言った。
「………それは私に言ったのか?」
「お前以外に誰が居るってんだ」
目元は気だるげな半眼のまま、口元を不敵に歪めてそう言った男は、背に背負う剣を抜いた。
「この剣は銀製だお前達の弱点……この────────」
「───『この剣が有れば私達を殺せる……』とでも言いたいの?」
男は驚いた様に私を見た。
その目は先程までの気だるげな半眼ではなく、大きく見開いて私を見ていた。
「………何だ?吸血鬼に銀は効かないってか?」
バツの悪そうな顔をしてそう言う男。
だが、その目は私を捉えて離すまいと、視線を逸らさない。
「さぁ……どうかしらね?それより……何故“人間”の貴様が其処にいる?」
そう、この男は“人間”私達に攻めて来たのは妖怪の群れ、何故此処で人間が出てきたのか。そもそもこの人間は妖怪達とどんな関係なのか。
魔法による奴属にしても人間一人が従えせせられる数を超えている。
この男は一体どんな手段で妖怪達を味方につけたのか?
一介の人間がこれだけの妖怪達を束ねるなど不可能だ、更にこの一帯を夜にした魔法らしきもの。
何度も言うが一人の人間が起こすには些か事が大きすぎるのだ。
「………敵に情報を漏らす馬鹿が居ると思うか?」
「……そうか、だがまぁ……貴様を殺してしまえば何も問題は無いからなぁ!」
奴は銀の剣を振りかぶる。
同時に私も『グングニル』を振りかぶる。
「はぁぁぁぁ!!」
「シッ!!」
私達の掛け声と同時に、私の『グングニル』と奴の剣がぶつかり合う。
ギャリギャリと耳障りな金切り音が周囲に響きわたる。
奴の剣戟はそれこそ一流の物、対して私は槍はおろか、武術さえまともにやった事のない三流以下の者。
どう転ぶかなんて解らない打ち合い、圧倒的に差をつけて────殺してやろう………。
────私はこの時自分に酔っていた。
だからこそ起きてしまったのだろう、“私があの時もっと理性的に動いていたら”……と。
あの“ピンチ”をおこしてしまったのは私のせいだろう………。
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