第十話
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し……」
「せめて待つ事をして欲しかったよ!ギリギリ巻き込まれ無かったけども!」
「巻き込まれ無かったならそれで良いじゃない」
「ちょ!?“あんた”姉としてそれで良いのか!?」
「その姉に向かってあんた呼びするなんて何様のつもりかしら?」
私とフランは額を付け合ってメンチを切り合う。
「あ?」とか、「お?」とか、言い合っていると段々と砂埃が晴れてきた。
ずっと同じ事をやっている訳にも行かないし、額どうしを離し、砂埃の先を睨みつける。
砂埃を引き裂いて私の『グングニル』が飛んできた。そして、それを皮切りに砂埃が一気に晴れていった───
───その先は正に“地獄”だった。
『グングニル』によって出来た大きなクレーター、更にその周囲は更地に豹変していた。
それでもまだ、その先には沢山の妖怪が見えるのに舌打ちしてしまう。
だが、今ので半分以上は削ることが出来ただろう。
自分でやっておいてあれだが、この後の事を考えると頭が痛くなってくる。やっぱり、多少は手加減した方が良かったと今更ながら思ってしまう。……これはその時に考えれば良いだろう。取り敢えず前の奴等に集中しなくては。
クレーターを超えた更に奥に居る妖怪達。
だが、吸血鬼の視力ならよーく見える。
何割かは、腰を似抜かして居るようだ、それに碌に戦えなさそうな奴もちらほら………。
残ってはいたが、その中でも戦えそうなのが更に限られて居るようだ。
「……! お嬢様!!」
「フフ……どうだ、美鈴?これなら私達……いや、私だけでも十分だったな。フラン、お前はもう出るな。後は私一人で十分………だっ!!」
私はそれだけ言うと、飛び出した。
クレーターを超えて瞬く間に奴等の蔓延る場の空へ。
「どうだ?これが私の力。貴様らが喧嘩を売った相手の力だ!貴様らは私を怒らせた、泣いて詫びろ!、悔いて媚びろ!、それでも私は貴様らを許しはしない!!」
私は手頃な位置に居た妖怪に『グングニル』を突き刺した、その一撃で妖怪は事切れる。
弱い、弱過ぎる。
この程度で、家に攻めて来たのかと思うと怒りがこみ上げて来る。
私達はこの程度にしか見られて居なかったのか……と。
だが同時に誇らしくも有る。
私の力で、家の力を解らせる事が出来る事に………。
半狂乱になって逃げ出す者、只々私に命乞いをする者、感情に身を任せ襲いかかって来るもの。
平常を保つ事さえ不可能なまでに粉々にした理性、奴等には欠片もそれは残されていない。
傷ついた妖怪達も己の存在を保てず消えていく。
残ったのは目の前の数十匹だけ。
“圧倒的”“勝利”それらが私の中を優越感と共に渦巻いていく。
「あー……息巻いてんじゃねぇよガキが」
妖怪
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