第三十九話
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のくぼんだところに化粧道具とか小物を入れたりして使うんだと思うよ」
しかしオルゴールなんかこの世界にあるとは思わなかった。
なんでも有りの世界だけどさ、デザインは無骨だけど芸術品の類があるなんて思いもしないじゃない。
イケメンモブ武将も流石に聞きなれない言葉だったのか、言い難そうに反芻していた。
「おる、ごーる……ですか。聞いたことの無い響きですね」
「女の子はこういうの結構好きだよ……ははぁ、なるほどねぇ」
不法投棄ってわけじゃなくて、これってもしかしてアニキから鶴姫ちゃんへのプレゼントじゃないのかしら。
だって、こんなものアニキが作るとは思えないしさぁ。
けど、プレゼントだって言えないから勝手に置いてってんじゃないのかしら。
で、向こうは何だか分からないからゴミだと思ってる、とか。
やだ、アニキ。何可愛いことやってんのよ、もう。ニヤニヤしたくなってくるじゃないの。
「多分、他のも何かしら仕掛けがあって、あの子が好みそうな何かが出てくるんじゃないのかしら」
「なるほど……ならばそう言ってもらえれば宜しかったというのに」
「まぁ、それが不器用な男心って奴じゃない?
女の扱い知らないから、どう接していいのかも分からなくて喧嘩になっちゃうとか」
子供染みた言い争いをしている二人の様子を見ていると、何だか微笑ましくなってくる。
ついイケメンモブ武将さんと一緒に微笑ましい目で見ていれば、二人が急に言い争いを止めた。
「……鶴の字ぃ、今日という今日は許せねぇ! 勝負だ!」
「望むところです!」
「よぉし……今日の夕方にこの港を出向して、日本をぐるりと一周していち早く四国に帰って来た方が勝ち、ってのはどうよ。
テメェみてぇな小便臭ぇガキに戦って勝っても自慢にならねぇからな。
負けた方は……そうだな、何でも言うこと聞くってんでどうだ」
「受けて立ちましょう! こちらもガラクタ作りの名人に勝ったところで、自慢にもなりません!」
また喧嘩になりそうな二人を引き離して、妙な勝負を始めることになってしまった。
無論、そんな二人に対して周囲は完全に置いてけぼりだ。イケメンさんも呆れ顔でこの様子を見ているくらいだし。
……三河まで送ってくれるって話は反故にされないかしら……。
なんかそれが凄く心配になってきたのは言うまでも無い。
さて、約束の刻限になり、両者は港を出港する。
妨害の為に互いの船に攻撃を仕掛けたりしないのはアニキが作ったルールで、純粋に船の速さで競い合うという。
流石に向こうが戦う為に作られた船じゃないってのは分かってるみたいで、そういう卑怯なことはしたくないとアニキが言っていた。
いやぁ〜、流石アニキ。勝つ
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