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フランの狂気になりました
第八話
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私は舘の屋根に腰掛けて月を眺めていた。

おねぇ様と地下で別れた後、部屋まで戻ろうとした私は、上に続く階段から月明かりがここまで入って来ていたのに気が付いた。
それをみてふと、月が見たくなった私はこうして月を見に来たわけだ。
だが、一足遅かった様で、既に東の空は白みかかっていて直ぐにでも戻らなければならなかった。
そのせいもあって、月明かり自体はほぼ白みかかった空にかき消されて空にその姿を浮かばせるだけだった。

おねぇ様は言った。“私が死んでれば良かった”と……
だが、おねぇ様が言いたかった事だって分かっているつもりだ。
おねぇ様は私が“お父さまとお母さまに殺されかけたから”“自分が私がの姉だから”こんな理由でそれを押し殺そうとしてるのだろう。
さっきのが、おねぇ様の本音だったのだ。
私だって月華が殺されたらその相手を殺そうとするだろう。だけどそれがおねぇ様だったら?私はどうしてるだろうか。
今のおねぇ様見たいに自分の感情を押し殺す?その逆で、感情に任せておねぇ様を殺そうとするかも知れない。

おねぇ様は今、“私の為”に自分の感情を殺して私を守ろうとしてくれてる。
だから、地下であんなトラップの影響を受けてしまうほど、精神的に参っているのかもしれない。

おねぇ様が言った、“死ね”は、ある意味でおねぇ様の本音なんだろう。
だけど……私がおねぇ様に言った言葉だって本気だ。

おねぇ様には………謝んなくて良いか。
どんな理由があっても、死ねなんて言われて簡単に許そうなんて考え、有るわけ無いし。
おねぇ様が私の事が嫌いでも、私だって嫌いだし。寧ろ清々しい位よ!

………………月華は……。
月華は何で私を助けてくれたのかな………?

いや、月華は死にたく無かっただけかも…………それは無い……と良いな。もしも本当にそうだったら今、月華はこんな事になってないだろうけど…………。
それ以前に“助けてくれた”っていうのも、私が勝手に思ってるだけで……実際は全く別の意図があったのかも知れない。
唯々私がそうあって欲しいだけの話なんだから………。

………そう考えると、私ったら自分の願望をあたかも本当の事みたく喋っちゃったけど………だけど、どんな理由があったとしても、私が今も生きてるのは月華のお陰だから………それは変わらない事実。

………何でかな?気が付けばこんなに月華が大切になってたんだ。出会ってまだ数日だって言うのに………。
いや、その数日に至るまでが長すぎたんだ………。

百年近く、唯々独りで何の変化もない世界に居た私には月華は大きな変化、刺激になった。
月華と話した話題の一つ一つが驚きの連続、私は月華と話す事が楽しくて仕方なかった。

月華が話してくれる色んな事が、私の“部屋の外に出たい”
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