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フランの狂気になりました
第四話

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「外に出ようと思うの」

突然、フランがそんな事を言い始めた。
俺は読んでいた本、『魔法の使い方〜魔力の運用基本・応用編〜』を閉じてフランに向き合った。

此処は精神世界なんだが何故本を読んでいるのか疑問に思うだろう。
少し前に部屋が“何故か”ボロボロになっていたんだ。家具だって跡形もなく壊れてしまっていたんだが、ちょうど本棚の有った場所にこの本が落ちているのを偶然発見したんだ。
暫く読んでいたんだが、流石にずっとフランの身体を借り続ける訳にも行かず、フランが自分の身体を使っている時、俺は精神世界で暇する訳だ。
で、そんな暇してる時にふと、この本の事を思い出したんだ、そしたら俺の手元にはこの本が有った。

まぁ、俺が読んだ所までしかなかったし、読み進める事は出来なかったけど暇つぶしにはもってこいだったから何とか読破して、読みふけっていたんだが…………。

そんな時、フランが今の発言をしたのだ。

「………突然どうした?外に出ようなんて」

「うん、取り敢えずその珍獣を見る様な目をやめて欲しいんだけど?」

フランはジト目で俺を睨みながら言った。

え?だってフランだよ?あの部屋から出ようともしないで寧ろ精神世界でヒッキーしてるじゃん。
良く考えたら俺の方がフランの身体を使ってるし。
そう考えるとフランが外に出ようなんて………精神世界からだって滅多に出ないくせに。

「……私これでもちゃんと出てるよ?お母さまとかお姉さまがご飯持ってきてくれた時とかね。あ、前にはめーりんが来たんだよ?」

「おい、スムーズに思考を読むな」

そう言って俺もジト目で睨む。
フランはきょとんとすると苦笑いしながら「月華は何考えてるのか表情に出てわかり易いんだよ」と言った。


…………俺ってそんなにわかり易いのか。
少しショックだ………。

そんな事を考えていたら、フランが苦笑いしながら目の前から消えて行った。
本当にどうしたんだろ?フランは………。



…………ま、大丈夫だろ。それより何で俺に言ったんだろ?フランの身体なんだ、フランの自由だろ。
第一俺がフランの身体を俺が使ってる時点であれだし………。フランは俺に身体を使われて何とも思わないのかな…………?
いや、そんな事は無いだろう。
きっと嫌悪感、どこかしら違和感を感じてるだろう。

…………フランの身体を使うのは極力避けよう。
今回だってフランが自分でやり始めた事だ、どんな理由なのかは知らんが………ま、頑張りなフラン。










だが、まだ知らなかった。
この後、俺はフランに“罪”をきせてしまうなんて………。

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