月下に咲く薔薇 17.
[9/12]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
る様子だ。
今すべき事。それが、隊という集団の中で個を動かしている。
立ったまま、ティファが目を閉じた。
「始めて下さい」
「よし。全員で念じるんだ! 強く!!」
アムロの声に合わせ、仁王立ちするνガンダムが次第に金色の光の粒を全身にまとってゆく。
色違いのGN粒子にも見えるが、太陽炉から放出されるGN粒子とは異なり、この粒は炉から放射状に放たれたりはしない。もっと緩やかな動きをし、粒子の量も少なかった。
戦闘ではない為、アムロが抑えているのだろうか。
天井の高いダイグレンの格納庫で、黄金の光の粒が流れて進む。ティファ達を巻き込みながら、ニルヴァーシュとクロウをνガンダムと繋ぐべく小さく小さく円を描いて。
直後、青白く輝く星が1つ、ニルヴァーシュとクロウの足下に現れた。星は小さく歪な丸を成し、更に周囲にある筈の格納庫壁面を消滅させて星々の海を大胆に出現させる。
床に足をつけている筈なのに、五感を狂わせ浮遊感で弄ぶ。まるで落下後の青い異世界が再現されてゆくような錯覚に陥った。
しかし周囲を染める色は、濃紺といより限りなく黒に近い。あの青の世界ではなく、あまくでアムロが支配する感覚飛翔の結果なのだろう。
アムロとティファ達が呼びかけているのがわかる。人間の思考を、少しでも光や音に近づけようと。
遠くで、ニルヴァーシュとレントン達の声も聞こえた。言葉は不明瞭で、断片的に「大丈夫」だの「ある」だのと何物かについての会話をしているところまでは伝わってくる。
νガンダムの中にいるアムロ、ニルヴァーシュとレントン達、そして生身のクロウとティファ達だけが、先程までと同じ姿勢で宇宙を漂っていた。
格納庫から一部の人間だけが抜き取られたかのような光景だ。
サイコフレームとやらが人間に知覚させる無境界世界。正直なところ、これ程のものとは思わなかった。肉体と物質の境界が取り払われ、人の感情や思考をそこここに存在していると直接感じる事ができる。
しかし、全員の意識が混然一体となるのではなく、あくまで「自分」は最も濃密で浮いている場所に存在する。
なるほど、この中ならば。
ティファに言われた事を思い出し、クロウも自身の内なる存在を意識した。
何かがある。ではなく、誰かがいる、と。
一体何者なのか。伝えたい事はあるか。そう望んだ時、青白い星の声を聞いた。
『…を止めて下さい。…を止めて下さい』
聞こえてくる声の印象では、若い女性のものらしい。
「おいおい。誰を止めろって?」
相手もわからない中で、クロウはつい衝動から問いかけた。
『…を止めて下さい。私も花たちも、既に彼の一部です。私達では、どうする事もできません』
「誰だ? あんたは」
クロウは、質問を変えた。
『100の中の1。私がこ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ