月下に咲く薔薇 17.
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そいつは、全員を並列に繋げる事もできるんだろ? だったら、別な誰かの声ってのは、俺が優先的に聞き取っておく。元々、俺絡みの相手だろうからな」
ティファが、小さく頷く。
「で、俺は何をどうすればいいんだ?」
当事者の1人として、クロウは手持ち無沙汰である事を申告した。
「それなら、俺も同じ質問がしたい」ロックオンが、右手の親指で自らを指す。「俺とガロードに出来る事はないのか?」
少女は瞬考した後、右手を差し出しながら「ガロード」、「ロックオンさん」と言いつつ左の掌を開いて招いた。「私達と一緒に祈って。思いが伝わりますように、って」
「よっしゃ!」とすぐに手を繋ぐガロードに対し、ロックオンは躊躇しまずガロードに視線でお伺いを立てる。
対するガロードは、きょとんとした様子で「俺じゃくなて、ティファ」と手を繋ぐよう急かした。
内心苦笑いで子供心を迎えつつ、ロックオンもティファと手を繋ぐ。
「リーロンさんも」少女が呼びかけリーロンの協力を求めれば、痩身の男性が「じゃあ私は」と空いている左手を少女の左肩に優しく置いた。
間近になったロックオンの顔に、リーロンが軽くウインクをする。
「俺の手も空いてるぞ」敢えて右の掌をひらひらとさせるクロウに、ニュータイプの少女が「クロウさんは、ニルヴァーシュに触って」と、目線で機体への道を作る。
「それだけでいいのか?」
ティファが、首を横に振った。
「自分の中に別な誰かがいる。その思いを知りたい、って。強く、強くそう念じて。ニルヴァーシュとクロウさんが同じ事をすると、アムロさんと私達の力でもっとはっきり浮かび上がってくる」
つまり、クロウの体内にある異物は思考力を持っているという事になる。些か、ぞっとしない話だ。
加えて、突然駆り出されたにしてはアムロが妙に冷静なところも気になってしまう。ティファだけでなく彼もまた、一層上にある異質な現状がよく見えているようだ。
彼等を頼りにすれば、連れ去られた2人を救う事ができるのかもしれない。あのアイムなどと手を組まなくても。
ZEXISの総力。知らぬうちに侮っていたのは、隊の一員であるクロウ自身か。
「急げ、クロウ」アムロが時間を気にしている。「疲れているのはわかるが、もし種の類なら後々厄介だ。この1回で正体を暴くつもりでやってくれ」
「了解だ」
ティファ達4人の視線を背中に感じつつ、クロウは跪いているニルヴァーシュの膝上に触れた。硬い装甲は、掌を冷やす程冷たくなっている。
格納庫の奥が、機械音で再び賑やかになった。ここはダイグレンの中だから、リーロンの指示で修理を行っている者達が手元に集中しているのだろう。
彼等には、隊として最優先の役割が任されている。νガンダムには気づいていながら、こちらの問題からは自らを切り離してい
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