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月下に咲く薔薇
月下に咲く薔薇 17.
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ァーシュはレントンとエウレカ込みでZEXIS預かりとなった。今はダイグレンに機体を収め、スメラギやジェフリー達指揮官の指示で動いている。
 格納庫には、大人と子供の背格好が3人程一カ所にまとまっていた。
「もう遅いわ。明日、もう一度調べるところから始めない?」
 リーロンが上方を仰ぎ、解放されたままのニルヴァーシュのコクピットに声を張り上げて呼びかける。
 しかし「ニルヴァーシュをこのままにはしておけないよ!」の一点張りで、レントンは下りる事を頑なに拒否していた。
 エウレカの姿が下に無いという事は、彼女もコクピットの中か。
 ニルヴァーシュとは、機械と生物の中間をゆくレントンの愛機だ。白いぬいぐるみのようなニルヴァーシュと黒いジ・エンドという同種の2体が融合し、spec2の倍以上という巨大な機体を構成している。
 上半身が大きく足の細い白銀の外観は、手に持つステッキと相まって魔法世界の住民を思わせる。ステッキを武器とし、以前のようにボードを必要とせず飛行するので、余計かもしれない。
 ニルヴァーシュへの指示は操縦よりも感応によるものが大きいらしく、機体そのものをガンダム搭載のビットやファンネルと解釈する事もできる。操者は専属で、少年と少女の2人組だ。
「なぁ、リーロン。話があるんだ。ニルヴァーシュの事で」
 線の細い男の背にガロードが声をかけると、「あらやだ!」としなを作って腰を捻りニューハーフのメカニックがガロードとティファを見比べた。「もう、あんた達まで! 寝なきゃダメって言われてるでしょ。寝るのも仕事よ。大丈夫、明日も朝は必ず来るから」
 子供達を窘めるリーロンに、クロウは近づきながら右手を上げる。
「よっ、お疲れさん。どういう感じなんだ? ニルヴァーシュは」
 リーロンが一瞬、半眼になった。
「随分と早耳ね。…それとも、『揺れる天秤』としての勘かしら?」
「そんな大層なもんじゃねぇ。ティファちゃんからの話で知っただけだ」
 視線を下げ、リーロンが「疲れを溜めないでね」と少女に優しく忠告する。「ガロードを心配させたくないでしょ」
「うん」と、ティファが淡く頬を染めた。
 ロックオンが話を戻す。
「聞いたところによると、ニルヴァーシュに何かあったとか。で、どうなんだ?」
「レントンの話だと、ニルヴァーシュの話している事が急にわかりづらくなったんですって」
 言いながら、リーロンの視線が件の機体のコクピットを指した。
「わかりづらく…?」
 それはいつもの事ではないのか。クロウの他、ロックオンとガロードの脳内で用意された返答は、理性の働きによって喉の半ばで凍結される。
 専属のパイロット達2人ならまだしも、クロウ達にとってニルヴァーシュの発する声は常に「モキュ」以外の何物でもなかった。多少のバリエーションは
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