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月下に咲く薔薇
月下に咲く薔薇 17.
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てて服を着る。
 ロックオンがドアを開けると、昼間会った長髪の少女がボーイフレンドと共に立っていた。
「どうした?」
 ロックオンが応対に出ている間、ハロはクロウの足下で耳の位置にある2枚の蓋をパタパタと開閉している。敵ではない事に安堵して見えるのは、クロウ自身の思いが投影された結果かもしれない。
「入っていい…?」
 か細い声で、少女が入室を希望した。
「ナイトと一緒なら」
 立ち上がったままのクロウが笑うと、ガロードがえへへと照れながらティファに手招きをした。
 少女が、クロウを見ている。部屋の奥に進み入る間、そしてベッド前に立つクロウの真正面で足を止めた時も。
 落ち着きがなくなるのは、当のクロウとガロードの方だ。
「どうした? ティファちゃん。深夜にむくつけき男の部屋に入って、その熱い視線はくすぐったいぜ。俺に何か…」と言いかけ、更に驚いた。
 ティファはいきなり、クロウの右手を取ったのだ。
「クロウ。あなたの中に、欠片がある」
「欠片…?」
 その言葉が一体何を指すのか、尋ねるまでもなかった。心当たりなら有りまくりだ。
 青い異世界で指先に痛みを感じたのは、やはり何かが皮膚を突き破ったからに違いない。そもそも白い糸の正体に好奇心が湧いただけなので、テイクアウトをする狙いなど最初から皆無だった。
 欠片とは、一体何の欠片なのか。それを取り出すにはどうしたらいいのか。
 クロウは次第に、診察室で医師と対峙する患者の気分になってきた。
「そうはいっても、今はまだこれといった自覚症状はないんだ。よく気づいたな」
「ニルヴァーシュが教えてくれたの」
 ティファの返答に、クロウばかりかロックオンとガロードも眉を上げた。
「ニルヴァーシュが!?」
「ニルヴァーシュで響いているの。あの人達が残した音が。私は、それを聞いただけ」
「置き土産って事か。もしかしてそいつは、さっきのホワイト・アウトの時?」
 クロウが少女に問いかけている間、ロックオンは内線でクリスと手短に会話し、レントンとエウレカが起きているかの確認を依頼した。
 目前のティファが首肯する。
「レントンは、もう気づいている。ニルヴァーシュの異変に」
 なるほど。件の機体は先程の戦闘時、確かに出撃機に含まれていた。次元獣もどきの攻撃隊に加わっている最中、ティファの言う異変が起きたのだろう。
「悪いな、もう少し訊かせてくれ。その声についてなんだが、いつから聞こえるようになったんだ?」
「みんなが戻って来た後。繋がったり切れたりして、切れている時間の方が長い。でも一瞬だけ、クロウさんの事を教えてくれた」
「今も聞こえる?」
 少女が仕種で否定した。
「ニルヴァーシュの中に何かがあるのは、ティファちゃんが自分で気づいたのか?」
「そう」と、小さく
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