月下に咲く薔薇 17.
[4/12]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
てて服を着る。
ロックオンがドアを開けると、昼間会った長髪の少女がボーイフレンドと共に立っていた。
「どうした?」
ロックオンが応対に出ている間、ハロはクロウの足下で耳の位置にある2枚の蓋をパタパタと開閉している。敵ではない事に安堵して見えるのは、クロウ自身の思いが投影された結果かもしれない。
「入っていい…?」
か細い声で、少女が入室を希望した。
「ナイトと一緒なら」
立ち上がったままのクロウが笑うと、ガロードがえへへと照れながらティファに手招きをした。
少女が、クロウを見ている。部屋の奥に進み入る間、そしてベッド前に立つクロウの真正面で足を止めた時も。
落ち着きがなくなるのは、当のクロウとガロードの方だ。
「どうした? ティファちゃん。深夜にむくつけき男の部屋に入って、その熱い視線はくすぐったいぜ。俺に何か…」と言いかけ、更に驚いた。
ティファはいきなり、クロウの右手を取ったのだ。
「クロウ。あなたの中に、欠片がある」
「欠片…?」
その言葉が一体何を指すのか、尋ねるまでもなかった。心当たりなら有りまくりだ。
青い異世界で指先に痛みを感じたのは、やはり何かが皮膚を突き破ったからに違いない。そもそも白い糸の正体に好奇心が湧いただけなので、テイクアウトをする狙いなど最初から皆無だった。
欠片とは、一体何の欠片なのか。それを取り出すにはどうしたらいいのか。
クロウは次第に、診察室で医師と対峙する患者の気分になってきた。
「そうはいっても、今はまだこれといった自覚症状はないんだ。よく気づいたな」
「ニルヴァーシュが教えてくれたの」
ティファの返答に、クロウばかりかロックオンとガロードも眉を上げた。
「ニルヴァーシュが!?」
「ニルヴァーシュで響いているの。あの人達が残した音が。私は、それを聞いただけ」
「置き土産って事か。もしかしてそいつは、さっきのホワイト・アウトの時?」
クロウが少女に問いかけている間、ロックオンは内線でクリスと手短に会話し、レントンとエウレカが起きているかの確認を依頼した。
目前のティファが首肯する。
「レントンは、もう気づいている。ニルヴァーシュの異変に」
なるほど。件の機体は先程の戦闘時、確かに出撃機に含まれていた。次元獣もどきの攻撃隊に加わっている最中、ティファの言う異変が起きたのだろう。
「悪いな、もう少し訊かせてくれ。その声についてなんだが、いつから聞こえるようになったんだ?」
「みんなが戻って来た後。繋がったり切れたりして、切れている時間の方が長い。でも一瞬だけ、クロウさんの事を教えてくれた」
「今も聞こえる?」
少女が仕種で否定した。
「ニルヴァーシュの中に何かがあるのは、ティファちゃんが自分で気づいたのか?」
「そう」と、小さく
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ