暁 〜小説投稿サイト〜
月下に咲く薔薇
月下に咲く薔薇 17.
[3/12]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
!!」
 クロウの胸にグサリと刺さるものがあった。脇が甘いから、金を知り尽くす者に繰り返し手玉に取られてしまう。
 ロックオンの言いたい事は理解していた。スメラギ達が何を思い、上気したネネ達がそれでもこの部屋には押しかけずにいる理由さえ。
 覚醒したスフィア・リアクターとやらを侮ると、首都が1つ大地から消える事になる。それは、ZEXISがリモネシアで学んだ痛みを伴う教訓だった。アイムの野望とアリエティスの性能に秘められているものを読み誤った結果、大きな代償はZEXISではなく首都に住む人々の命全てで支払う事態を招いてしまったのだ。
 アイムが『偽りの黒羊』のスフィア所持者であるように、現在のクロウもまた『揺れる天秤』と名付けられているスフィアの所持者となっている。未だ彼の力の源を使いこなしていないとはいえ、何処でその力を振るうかは周囲を大きく巻き込む大問題だ。
 覚醒については謎が多い。ZEXISよりもスフィアに通じているZEUTHは、スフィア・リアクターの覚醒が何段階かを踏むのだと話していた。覚醒の度合いで並べるなら、魔人アサキム、アイム、ZEUTHに所属する『傷だらけの獅子』と『悲しみの乙女』の2人、そしてクロウの順になるらしい。クロウの場合、未だ覚醒の初段階、半覚醒状態にあるのだ、とも。
 それでもVXから引き出す事のできるエネルギー量は以前に比べ格段に増し、SPIGOTを稼働させる攻撃はZEXISでも五指に入る強力なカードとなった。より高い覚醒レベルとやらは、おそらく時間の問題のように思う。
 もしクロウがアイムと組めば、スフィアとブラスタの使い道を奴に委ねる事になる。他ならぬあのアイムに、だ。インペリウム帝国を知る者ならば、誰もが最悪の事態に等しいと警戒するのは当然だろう。
 問題なのは、現時点であの青い世界へ自力で行き来する能力を持つ者がアイム1人という事だ。ZEXISの力だけでクランと中原を助け出すなど、夢のまた夢ではないか。
 手を組む相手を選り好みできる程、今のZEXISに余裕があるのか?
 誰もが理解をしているのに。答えは、NOだ。
「なぁ」クロウは、それを声に出してみる。「時間は、敵と俺達、どっちに味方するんだろうな?」
 再び、ロックオンが無視をした。眠っている様子はないので、クロウの話には耳を傾けているようだ。
「ライキャク! ライキャク!」
 ベッドの下で、機械的な声がした。
 2人同時に上体を起こし、「誰だ?」とロックオンがドアの向こうに呼びかける。
「…起こしたならゴメン。俺はガロード。それにティファもいる」
 ティファの名に、クロウはロックオンと暗がりの中で視線を交わした。彼女には訊きたい事が幾つもある。敵に関するヒントや、何故ダブルエックスを出さなかったか、などを。
 部屋を明るくし、慌
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ