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竜のもうひとつの瞳
第三十七話
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んじゃない? あと、その格好で胡坐掻くの止めて。
私の位置から丸見えなのよね」

 再び男が真っ赤になって、また忍顔負けな瞬発力で掛布を自分の身体にかけて、
肌が私に見えないようにもぞもぞ着替えをしている。
その様が結構情けなかったけれど、まぁ、堂々と着替えられるよりかはいいか。

 ……もう野郎の裸くらいじゃ驚きません。見せられて不愉快ではあるけれども。
利家さんで慣れたし、明智を超えるくらいの変態じゃないと、全裸でその辺走ってても動じないと思います。
ぺしゃんこにはするかもしれないけど。

 しっかりと服を着て眼帯まで身に着けた男は、掛布を寝台に投げて私に近づいてきた。

 「アンタ、何処へ行くつもりだったんだ」

 「奥州に帰るつもりだったの」

 「帰る?」

 「話せば長くなるんだけど、ちょっと仕えてる主と一悶着あって逃げてきたのよね。
ほとぼりも冷めたし、反省してるみたいだから帰ろうかなって思ってたんだけど……」

 乗った船が海賊船とか。もう、余程奥州に帰っちゃいけないのかしら。

 「奥州か……まぁ、奥州までは行ってやれねぇが、三河までなら乗せてってやってもいいぜ?
一度四国に寄るが、そっちに向かう予定だからよ」

 思わぬ申し出に私は立ち上がって男の手を握る。
ほんのり頬を赤くしているのが気になったが、そんなことよりも乗せて行ってくれることが嬉しくて然程気にしなかった。

 「本当!? ……って、アニキって人の許可取らなくていいの? 勝手に決めちゃって」

 「おうよ、その“アニキ”ってのは俺だからな」

 その男、海賊の船長ことアニキの言葉に、今度は私が絶叫した。

 まさか海賊の親玉の部屋に飛び込むなんてどんな不運。
ま、まぁ、でも結果オーライって奴なのかな?
……とりあえず、いい男の裸が拝めたから良かった、って思うことにするか。
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