第三十七話
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してくれた。
「ええっと……貴方、ザビー教の人じゃないの?」
「……不本意ながらザビー教に入信させられてしまいましたが、手前は武士です。ザビー教に下るつもりはございません」
……とりあえず、正気の目をしているからこの人は信用してもよさそうな気がする。
というか、ザビー教にいるのにザビー教に屈するつもりがないって、随分と矛盾したことを言うもんだね。
まぁ、考え方は人それぞれだからアレだけど……これはこれで良いかもね。
「……何で、逃がしてくれるんですか?」
そんなことを訪ねれば、私に荷物と竹中さんから貰った刀を渡して
「どのような事情があれ女子を監禁するのは武士道に反します。
いくら我が君が盲信するザビー殿とはいえ、手前にも譲れぬものはありますゆえ……」
と言った。
どうしよう、何か久しぶりにまともな人見たような気がする。ってか、この人いい人だよぉ〜……本当いい人だ。
久々に見た常識人にぶわっと涙が溢れてくる。
今の今までおかしい連中に関わり過ぎた。一番酷かったのは明智の奴だけど、サンデー毛利もなかなか酷い。
「あっ……ありがとうございます〜、無事に逃げられたらいつかお礼に伺います〜」
半分泣きながらお礼を言って、促されるままに穴へと飛び込む。
体格のいいおじさんにはちょっと狭い通路だけど、私が通るには十分だ。
すいすい進んでいき、地上に這い上がるとそこはザビー城から大分離れた海岸に出た。
「近くに港町があり、船が停泊しております。そこから船に乗り離れると良いでしょう。ザビー教は水軍を持ってはおりません」
「何から何までありがとうございます……よければお名前を」
「誰かいるぞ!!」
その声におじさんがチェーンソーっぽい刃物を構える。
「さぁ、お早く!」
「ごめんなさい、ありがとう!」
走ってその場から逃げ出すと、おじさんのいた場所から剣戟の音が聞こえる。
心配だけど申し訳ないけれど助けには行けない。行ったら何の為におじさんが戦ってるのか分からなくなるから。
おじさん、見ず知らずの私を助けてくれてありがとう。どうか無事で。
どうにか追っ手を撒いて港町に辿り着いたのが夕刻頃、北に向かう船を町の人に聞いて慌てて船に飛び乗った。
出航間近で際どいところだったけど、何とか乗れて良かった。
……なんてほっと息を吐いたのも束の間、船員の一人が私を見て大声を上げる。
「密航者だぁーーー!!」
「へ!?」
えっ、密航者って、ちょっと待ってってば! ちゃんとお金払ったよ? 奥州行きの船のお金払ったし!!
「テメェ、何モンだぁ!? 海賊の船に乗り込むなんざ、いい
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