第三十六話
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……何か答えてよ。認めたくないのは分かるけども。
「アナタタチ、ナカナカヤルネェ〜」
突然背後から聞こえたその声に、私達は揃って飛び退いた。各々の武器を構えて敵を迎え撃つ。
「貴様は……ザビー!」
「……敵の総大将がここにいるってのは、どういう腹かしら? てか、一体どっから出てきたのよ」
そんなことを言えば、ザビーは目をキラキラと輝かせて私達を交互に見つめてきた。
「アナタタチヲ、歓迎シマ〜ス。ザビー教ニ入信シテ、一緒ニ愛ニツイテ語リマセンカ〜?」
愛、だと……? いや、確かに愛を探して旅をしてますが、そういう胡散臭い愛はいらない……ぶっちゃけなくてもいらない。
というか、どっから出てきたってのは無視かい。
「愛などいらぬ! そのようなもの、我には不要ぞ!」
「オ〜、愛ハ必要ネ〜。ソレハ、ザビーニモ、アナタニモ、必要モノデ〜ス」
「そんなものはまやかしぞ。我が欲するのは毛利家の安泰、そのようなものなど邪魔なだけよ」
「サミシイヒトデスネ〜……アナタ、ソンナコト言ッタラヒトリボッチヨ?」
ザビーのその言葉に顔色を変えた毛利を見て、素直にヤバいと思った。
この手の手合いは言葉巧みに人の心の隙間に付け入ってくる。
この人、冷酷に振舞ってるけど心の奥底ではもしかしたら愛情って奴を欲しているのかもしれない。
独りぼっち、これが陥落させるキーワードになっているとしたら……この状況は危ない。
絡め取られる可能性が高い。
「も、毛利様? あのような者に耳を貸す必要はありません。早く討ち取って終わりにしてしまいましょう」
「黙れ! 分かっておる!」
……冷静さを欠いたら負けだよ? 戦術的にも。
てか、そういうのは一番良くわかってるんじゃないの? 安芸の軍師様。
「このような下品な異人を生かしておくわけにはいかぬ! 言われずとも討ち取ってくれるわ!!」
振るった輪刀を難なくかわし、巧みにバズーカーを撃って来る。
加勢しようかとも思ったけれど、完全にキレてザビーに攻撃してるもんだから近寄る隙が無い。
「愛ハ〜、必要デ〜ス」
「まだ言うか! その口を閉じよ!!」
「アナタ、誰カラモ必要トサレテイナインデスカ〜?」
「……っ! 我は安芸の守護者ぞ! そのようなことは関係ないっ!!」
「アナタ、サミシイヒトデスネ〜。デモ、ザビー教ニ入レバダイジョウブ〜。アナタヲ、ワタシタチハ必要トシマ〜ス」
段々と敵のペースに乗せられていく毛利に、これは撤退を考えた方が良いのではないかと思い始めてきた。
だって、このままだと私まで巻き込まれそうな気がするし……つか、西国の事情なんか私の
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