第三十六話
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で、毛利が忌々しそうにザビーめ、と呟いていたがこれはただの偶然だと思う。
この調子だと風が吹いてもザビーのせいにされてしまいそうな予感。
三日かけてザビー教の本拠地まで辿り着き、その前の日までの雨が嘘だったかのように綺麗に晴れた。
「これが日輪の加護よ!」
なんて無表情で得意げに言ってたけど、やっぱりそれも偶然だと思うんだけど。
まぁ、本人がその気になってるから水を差すようなことは言わないけれども。
「オー、マタ来マシタネー、アナタ、チョットシツコイヨー?」
出てきたのはガタイのいい中年の外国人のおっさん。
河童みたいなヘアスタイルで、片言の日本語を喋るもんだから可笑しくって仕方が無い。
「アナタ、愛ガ足リマセンネー。愛ヲ語ライマショウ! 愛ハ世界ヲ救ウノデース!」
うわぁ、胡散臭ぇ……。愛とか何とかって、変な歌流して洗脳して信者増やすのが愛ですか? そりゃねぇだろうが。
つか、アレがザビーなんでしょ? “ザビー”ってもしかしてモデルになってるのって、フランシスコ・ザビエル?
……コレが外国の一般的な宗教だとか、そんな設定だったら真面目に泣きますよ?
いくら世界観おかしいからってコレはない。
「ミナサーン! イッショニ、歌イマショ〜ウ!」
ザビザ〜ビ♪ と流れてきた歌に、捨て駒さん達が耳を塞いでいる。
毛利さんも不愉快そうな顔をしているが、すぐに照日大鏡をセットするように指示を出す。
照準を合わせてからくりに向かって光を浴びせていくと、面白いくらいに次々にからくりが破壊されていく。
「……ふむ、まだ威力が弱いな。改善の余地はあるということ、か……」
……アンタ、何処まで極めるつもりなのよ。その大鏡。
落ち着いたら奥州に文送っておくかぁ……大鏡にも気をつけろって。
「皆の者、あの異人を討ち取れ!」
捨て駒さん達が一斉に毛利の合図と共にザビー教へとなだれ込んでいく。
「オ〜……コレハ、チョットマズイカモ〜?」
怪しい宗教団体の教祖ことザビーがそんなことを言いながら城の中へと消えていく。
あちらには兵がいないから、歌さえどうにかなれば後は捨て駒さん達でも鎮圧出来る。
そう毛利は踏んでいるようで、事の成り行きを静かに見守っていた。時折大鏡で適当に攻撃しながら。
一時間くらい経っただろうか、急に辺りが静かになった。
鎮圧が成功したのかと思ったが、それにしては兵が引き上げてくる様子もないし、何より静か過ぎる。
もしあのザビーとかいう外人を討ち取ったら、“とったど〜!”くらい聞こえて良いと思うんだけど。
……これってもしかして、まさかと思うけども。
「……自軍全滅?」
「…………」
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