第五十八話
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ライトが点灯し、俺たちを照らした。
「おい、漆多」
俺は駆け寄り彼の肩に手をかけた。
「月人、今日助けてくれたことは一応感謝はしている。お前は本当に強い。あり得ないほど強い。……それが一番悔しいよ」
俺は彼の言うことの意味が分からない。
「それほど強いのに、なんで寧々が殺されそうになった時に護ってくれなかったんだ? 」
「そ、それは……」
言い終わるより早く、バイクが加速した。
甲高いエグゾーストノートの残し、漆多は去っていった。
言いたいことだけ言って、帰ってしまった。
「お尻の怪我は本当に酷いのに、良く平気で乗れるわね、お前の親友は」
少し驚いたような口調で王女は話している。
「姫はあまりに挑発しすぎだよ。あんなに言われたら誰だった怒る。あいつは怪我人なんだから」
「あんなむかつく奴に優しくする必要はないわ。シュウは馬鹿なのか、優しすぎる。あの手の奴は対等なんて扱いをしたらつけあがるだけよ。犬と接するようにしなさい。主従をしっかりと力で分からせてやらないと。言葉だけでは絶対に理解させられないタイプよ。私はあの男は受け付けない」
あまりに酷い評価だな。王女の漆多評は。
「いやアイツはいい奴だよ。ちょっと気が弱いところがあるけど、ずっと友達だったからね。良いところはいっぱいある。ちょっと辛すぎることが多すぎたから、ああなってるけけど、俺の親友であることは変わらないよ。だから、姫もアイツのことをそんなに言わないでくれないかな。可愛い子からあんなに言われたらどんな奴だってショックを受けるよ」
「お前は甘いな。……まあその馬鹿さ加減がお前の長所でもあるんだろうけど。仕方ないわ。これ以上は言うのをやめてあげる」
「そういってもらえるとありがたいよ」
そうこうしている間に、遠くに車のヘッドライトが見えてきた。
遠目にもそれが純白のメルセデスであることが俺と王女には分かる。
十さんの車だな。
とりあえずは無事に帰れそうだ。
俺の長い夜は、とりあえず終わる。
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