暁 〜小説投稿サイト〜
竜のもうひとつの瞳
第三十四話
[2/3]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
西国ではザビー教なる宗教が流行っていて、至るところで被害が出ているらしい。
その中でも安芸は最も被害を被っているらしく、和の佇まいだった町並みがいつの間にか西洋チックに改造されて、
民の三分の二がザビー教に染まっているというとんでもない事態になっているという。
ちなみに安芸は毛利元就が日輪信仰をしているため、この状態は放っておくわけにはいかないということで、
ザビー教に戦を仕掛けようと考えていたらしい。ま、俗に言う宗教戦争って奴かね。

 ところが一度攻めに行った際にあの電波ソングを聞かされて、捨て駒さん達が揃っておかしくなってしまった。
皆ザビー教に改心するようになってしまい、それを見た毛利が已む無く撤退をさせたのだという。
どうやらあの歌に惑わされない人間が欲しいと考えていたようで、そこで私に白羽の矢が立ったらしいのだけど……何で私?

 理由は分からないけど、とりあえず宗教の違いってのが一番厄介なんだよねー……
私のいた時代だって、宗教の違いで戦争が起こってたわけだしさ。
信じる神が違うけど仲良くやりましょーってわけにはいかんのかね。
神様信じてない私にはとことん分からないわ。てか、現代の日本人の大半が分からない感覚だと思うけど。

 「ザビー教を撃退出来れば、報酬はお支払い致します。望みも思いのままに。
使者殿には是非とも隊列に加わっていただきたい」

 素性も知れないような人間に頼るほどに困ってるってわけか。ああいうのってマインドコントロールっての?
確かにそんなインチキ臭い宗教に心を操られて三分の二もやられちゃ、形振り構っていられないか。

 「それで毛利様、ザビー教を攻めると仰られましたが具体的にどうなさるおつもりなのですか?」

 捨て駒全員に耳栓を渡して装着させると指示が行き渡らなくなる。かといって何もせずに突っ込めばザビー教に絡め取られる。
通常の戦と同じように考えていては、まずこちらが不利になるのは必至だ。

 「攻める手立てはいくらでもある……が、あの歌が見えぬ障壁となりて我らを拒む。
あれさえなければザビー教など容易く潰せるものを」

 なるほどね、あの歌をどうにか出来ればいいのか。確かに単調だし、催眠効果を齎すには持って来いなのかもしれないわね。
でも、私昔っからああいうのは気にならないんだよなぁ……。

 「僭越ながら相手の手の内を知ることで対処法が見えてくるかもしれませぬ」

 「草を放っておるのだが、悉く奴らに絡め取られる。
ザビー教の者を捕まえて尋問をかけたが、大した情報も得られぬ……手の内を知るのは困難ぞ」

 「ならば一般論ではありますが、あのような類の宗教は大抵人の弱みに付け込んで気を惹くのだそうです。
人は自分の弱みを優しく受け入れて貰える
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ